2018.04.12
【まとめ】ハッピーエンドは誰のもの!? 誰が選ばれるかわからないラブコメマンガ
最近人気のラブコメ作品は、主人公と正ヒロインが最初から相思相愛が多い印象がある。
最終的なゴールが確約されているので、他のヒロインや男性キャラが二人にアプローチする様子も、読者は安心して楽しむことができる。そう、読者は安心したいのだ。
とはいえそんな中でも、未だにどのヒロインが主人公と結ばれるかが分からず、ドキドキしながら読んでしまうラブコメ作品もある。
ゴールが見えるラブコメももちろん面白いが、ゴールが見えないラブコメも、心臓が痛いくらいドキドキする面白さがあるのだ。
『初恋ゾンビ』
青春の最前線がここにある
『初恋ゾンビ』は、男性の初恋の妄想が具現化した「初恋ゾンビ」という形で見えてしまう主人公タロウと、その力を移されてしまったヒロインの指宿くん(本名・八女凛々澄
)を中心に描かれる物語だ。
幼少期のタロウとの別離の際に、能力を移されてしまった指宿くん。男性の妄想が可視化されてしまったこともあり、自身がその妄想の対象にならないように、指宿くんは男装をしている。
タロウを恨む気持ちもありながら、一途にタロウを想う姿に女性読者の多くがキュンキュン。
しかしタロウは、初恋を成就させると消えてしまう自身の「初恋ゾンビ」である、イヴを大切にしたいと思うようになっていて。
そのイヴは他の初恋ゾンビにはない自我を持ち、自身の意思でタロウの側にいるものの、時折見せる、好きな人に触れられない切なさが胸に響く。
そんな二人に対し、後方から一気に並んできたのがタロウの幼なじみである江火野さんだ。
タロウと江火野さんには、近いようで遠い、幼なじみ特有の距離感がある。そこに指宿くんが表れて、自分の知らないタロウの一面を見て、二人の関係性はゆっくりと変わっていく。
彼女の恋は作中で少しずつ育っていき、他のヒロインより甘酸っぱさが溢れているのが大きな魅力だ。
切なく、甘酸っぱい彼らの恋は、胸キュンなんて甘優しいものではない。
自分を見てもらうために、彼女たちは精一杯の恋をする。
心臓の音が聞こえるほどの青春の最前線が、ここにある。
『ぼくたちは勉強ができない』
登場するヒロイン、みんな可愛すぎ
得意不得意がはっきりしているヒロインたちに、主人公が勉強を教えながら織りなされるラブコメディ。
一緒にいる時間が増えていく中で、主人公の誠実さや優しさに触れて、惹かれていくヒロインたちの姿がかわいい。
最近は同級生だけではなく、先輩や先生までヒロインに名乗りをあげて、「週刊少年ジャンプ」で猛威を奮っている。
ヒロイン戦線から離脱したと思われていたキャラさえ、主人公を含めた他のキャラの恋愛相談を受けるポジションを確立し、みんなの気持ちを知りつつ主人公に惹かれるという最高に魅力的な姿を見せ始めている。
誰がメインの話でも、読者の頬は終始ニヤニヤが止まらない。
まさにヒロイン群雄割拠のラブコメマンガ。
文系女子、理系女子、水泳女子、メイド先輩、ポンコツ先生。
幸せを手にするのは、誰だ……!
『五等分の花嫁』
恋は五等分できるのか
家の借金返済のため、同級生である五つ子姉妹の家庭教師をすることになった主人公。落第寸前の姉妹たちだが、ある程度早くから信頼してくれるヒロインもいれば、敵意むき出しのヒロインもいて。
今までなんでも仲良く五等分が当たり前だった彼女たちに取って、主人公がはじめて和を乱す存在になっていた。
ラブコメの主人公にしては珍しく個性が強いこともあって、ヒロインたちとぶつかることもあるけれど、一人ひとりの性格を見極めて諦めずアプローチし、心を通わせていく。
心を許した人にだけ見せる彼女たちの笑顔は、たまらなく魅力的だ。
互いのことをよく分かっている姉妹は、時に相手に遠慮してしまうこともある。主人公に素直にアプローチできない時の辛そうな顔は、見ていて胸が締め付けられる。
恋か姉妹の絆か、今後姉妹は難しい選択を迫られていくだろう。
5人の恋の行方に、ドキドキが止まらない。
『逝けないカノジョのお手伝い』
ポンコツな人外たちを愛でろ
この作品のヒロインは、幽霊や妖怪といった人外たちばかり。
幽霊の輪子さんの友達作りを主人公が手伝うようになったことで、彼らの周りに人外な方々が集うようになってくる。
メインヒロインの輪子さんは幽霊です。重度のコミュ症かつあがり症。ヒロイン戦線で生き残れるか非常に怪しいものの、彼女の赤面は天下一品の可愛さがある。
しかし彼女は幽霊であるが故に、主人公に触れられない。そのもどかしさに、いつか彼女は気づいてしまうだろう。
最近株価を急上昇させているのは、二口女妖怪である朽木さん。後ろの口から本音がだだ漏れだったり、自分で後ろの歯が磨けず口臭に悩んだり。
それを結果として許容してくれた主人公に、段々と心を許していく姿は非常に可愛らしい。
また、最近は幼なじみの女の子や、ファンタジーに憧れる危うい後輩女子も登場。ますます先が読めなくなっている。
主要キャラが出揃いつつある中で、どんなラブコメが展開されていくか、非常に楽しみだ。
『狼少年は今日も嘘を重ねる』
親友のことが好きな人
主人公は目付きの悪さにコンプレックスを持っている男子高校生で、意中のヒロイン・葵にアタックするも完全に撃沈。目付きの悪さを解決するアプローチとして試した女装が、自分を振った葵に見事にヒットしてしまい、正体を隠した交流が始まっていく。
葵の男性恐怖症を治すのを手伝うことも始めるが、会うたびに積み重ねていく嘘が重くなっていき、少しずつ歯車が狂っていく。
いつバレるともわからない状況は、時折呼吸が止まりそうになるくらい苦しい。
対象的に、葵の友人である牡丹が主人公に惹かれていく姿には、ニヤニヤしてしまう。
葵は、女装している時の主人公に好意を持っている。
だけど牡丹は、男性のままの主人公の良さに気づいて、好きになってしまったのだ。
親友のことが好きな人を好きになる。
それは明らかに難しい恋だ。でも誰かを好きになることを、制御なんてできない。
この複雑な恋模様を、最後まで見守りたい。
ゴールが見えないことは、怖いことかもしれない。
しかしわからないこそ、キャラが迷い傷ついた先にたどり着いたゴールが、一際魅力的に見えるということもあると思う。
どんな結末を迎えるか読めない恋を愛でて、きゅっと胸が締め付けられるようなハラハラドキドキを体感して欲しい。
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