2018.04.17
【日替わりレビュー:火曜日】『武装少女マキャヴェリズム』神崎かるな, 黒神遊夜
『武装少女マキャヴェリズム』
私立愛地共生学園に転入した納村不道(のむら ふどう)。そこは帯刀した女子たちによって支配された、女尊男卑の学園だった。
自由を信条とする納村不道は外出許可を得るために、「天下五剣」と称される5人の強者に勝負を挑む!
女尊男卑の体制に反抗していく男子生徒の構図。森田健作主演のTVドラマ『おれは男だ!』を想起しつつ楽しんでます。
もっとも森田健作の竹刀に対して、納村不道の武器は防刃素材のグローブ。拳ひとつで古今東西の剣術に立ち向かう剣戟アクションが見どころです。
鬼瓦輪(おにがわら りん)は直心影流剣術、花酒蕨(はなさか わらび)のタイ捨流など、実在する剣術がその特性を駆使して戦う。そのifだけでも胸熱なのに、剣戟の描写がロジックの組み立てで出来ているところに魅力を感じます。
例えば眠目さとり(たまば さとり)という不思議ちゃんと納村不道の一戦。太刀筋から「神道無念流」だと推測するんですけど、さとりは『10点』だと評します。そこから、10の流派を選りすぐった明治時代の警察が制定した「警視流」という100点の回答に行きつく。ロジックが気持ちよくハマるアクションが実に心地よい。
日常パートでは逆に、ロジックよりも情感が優先される会話劇がイイ。鬼瓦輪が納村不道の体の傷を「虐待」と言いかけて遮り、逆に鬼瓦が母に受けたトラウマを吐露しようとして制止させる。作品の見た目は萌え+ハーレムの皮をかぶりながら、ウェットなドラマが展開されているのです。
萌え系の奥に秘められた、骨太な人間ドラマと剣術が描かれている『武装少女マキャヴェリズム』。普段はチャラくて飄々としていても、武術になると真摯に向き合う納村不道、そのものを体現していて面白い。
©神崎かるな,黒神遊夜/KADOKAWA