2018.05.12

【日替わりレビュー:土曜日】『カイと怪獣のタネ』ひらりん、肥田野茂

『カイと怪獣のタネ』

魔法使い姉妹ヨヨ・ネネシリーズの作者ひらりん先生が「月刊COMICリュウ」のWebマンガ配信サイトで月一連載中の最新作は、怪獣を主題とするファンタジーとなっている。

舞台は、私たちの現実とそこそこ似ているが、種から生まれて植物のように発育する巨大怪獣が存在する世界。
主人公カイは動物園ならぬ怪獣園「さわやか怪獣ランド」に勤める少年で、怪獣のお世話をして自在に言うことをきかせるプロフェッショナル「怪獣使い」の高みを目指している……が、当の怪獣たちからはおちょくられっぱなしの冴えないありさまだった。

自らの重量・熱量・かたさを変えられる巨体の溶岩怪獣。
空を飛び、電気操作の能力で天気に干渉できる雷鳴怪獣。
身体を丸めて高速移動したり頭のドリルで地中を掘れる地底怪獣。

園にいるのはこの3体だけだが、いずれも世界的に貴重な「古代種」という存在だ。
ある日、そんな古代種の軍事利用を視野に入れるライバル怪獣園の使者があらわれ、自社の怪獣と怪獣ランドの怪獣たちが危険な戦いをはじめるよう非道な策を講じてくる。
結果、巻き添えを食った園長が落命。カイは遺言として「怪獣たちを怪獣の楽園へ帰してくれ」と頼まれ、園長の孫娘を連れ危険な旅へ踏み出すことになった。

全長二〇メートル前後はある巨大怪獣と、すぐそばにいるちっぽけな人間の双方をダイナミックな角度から構図におさめる絵面が随所に見られ、スケール感がワクワクをかきたててくる。
怪獣と刺客の襲撃に立ち向かうスリル。「怪獣の楽園」とはどんな場所なのかという謎。怪獣との関係でカイが身の上に抱える大きな秘密。さらにマイペースで粗忽な(カイいわく「ポンコツな」)得体のしれない怪獣使い少女の登場……と様々な要素をもりこみ、冒険活劇としての楽しさも充実

今後の展開にますます期待したい一作だ。

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miyamo

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