2018.06.20
【まとめ】しっとりとした梅雨の季節に読みたい!雨がモチーフの青春ストーリー
日もすっかり長くなり、半袖を着ることも増えてきました。気がつけば夏の足音がそこに。
けれども本格的な夏の訪れを前に乗り越えなければいけないのが、ジメジメとした梅雨。外に出かけることもできず、なんとなく気分も晴れませんが、裏を返せば絶好の読書日和とも言えるのです。
今回はそんな梅雨時期に読むのにぴったりな、雨がモチーフとなっている作品を幾つかご紹介したいと思います。
『恋は雨上がりのように』
全10巻
いきなり雨が上がってしまいましたが、本作は外せません。
17歳の女子高生が、バイト先の冴えないファミレス店長(45歳)に恋をするという物語。アニメ化に続き、実写映画化もされるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの人気作ですが、つい先日10巻にて完結を迎えました。
年の差なんて関係なく、ただただ真っ直ぐに好きな人を想うヒロイン・あきらの青春っぷりは、雨よりもむしろ、晴れた夏空や入道雲なんかが似合うほどに爽やか。ただ二人の出会いや、あきらの告白など、物語のターニングポイントとなる場面では、雨や傘といったモチーフが物語を彩ります。
あまりに歳の離れた相手を想う、あきらの恋の結末やいかに。完結したてで、10巻とお手頃な巻数も相まって、梅雨時期にぜひとも一気に読んでみてほしい一作です。
『あめのちはれ』
全8巻
水をかぶると女体化するという画期的な設定を生み出したのは高橋留美子先生ですが(起源かは知らないけれど)、そんな『らんま1/2』を彷彿とさせるような設定を含んでいるのがこちら。
物語の舞台となるのは、名門高校・雨谷学園。入学式の日、春の嵐に見舞われ、男子寮に雷が落ちます。すると、新入寮生の一年生5人が、女子の身体に変化していて……という物語。後に、雨が降ると女体化し、雨が上がると男子に戻るということが判明。かつてこの症状に見舞われたという寮監の助けにより、男子の時は男子校に、女子の時は隣接する女子校へと通うという特殊なダブルスクール生活をはじめることになります。
なかなか尖った設定ですが、描かれるのは多感で繊細な高校生の恋や友情。男子として過ごす普段の生活も楽しいものですが、女子として過ごす生活はそれ以上に良くも悪くも刺激的。
想いを寄せていた相手の思わぬ姿にドキッとしたり、自分の正体がバレやしないかとドキドキしたり、入れ替わりものっぽさも感じさせる、普通とはちょっと違った青春群像劇をお楽しみください。
『透明人間の恋』
全1巻
実写映画化も決まった『町田くんの世界』の安藤ゆき先生の初期短編集。
この中に収録されている「drops.」というお話が、雨をモチーフとした物語なのですが、これが色々仕掛けられていて凄いんですよ。雨の日を舞台に、小学生や高校生、大学生、社会人の男女のやりとりが描かれるという、1話の中にさらに複数の物語が描かれるという構成。
それぞれに起承転結があり小さな感動を与えてくれるのですが、物語全体のラストに、それらの小さなストーリーが実は繋がっているということがわかり、読んでいて「おおおおお!」となること間違いなし。ここまで凝った短編は、こと少女マンガにおいてはなかなかお目にかかれるものではありません。
今回ご紹介する中では一番「雨」というものを前面に押し出した作品で、「雨も悪くないな」と感じさせてくれる一作となっています。
なおこのお話以外も、どれもレベルの高い良作ばかりで、単行本として全力でオススメできる一冊となっています。是非ともチェックを。
『涙雨とセレナーデ』
既刊3巻
『関根くんの恋』や『夏雪ランデブー』の河内遙先生の連載作です。
主人公の女子高生・陽菜が、雨の日の授業中、突如光に包まれて、気がつくと明治40年にタイムスリップをしていて……というSFもの。タイムスリップした先には、自分にそっくりな名家のご令嬢がおり、彼女に匿われ、時折彼女と入れ替わりながら、明治での生活に足を踏み入れていきます。
どうしたら現代に戻れるのか探るなか、思わずこの時代で恋をしてしまったりと、SF的要素とラブストーリーが入り交じる独特の風合いがクセになります。
タイムスリップして以降は全然雨が降らないので、正直ピックアップしようか迷ったのですが、そもそも作品として面白いのであえて選んでみました。
文明開化の音がする、明治時代のノスタルジックな雰囲気がお好きな方にはうってつけの一作です。
以上、4作品をご紹介しました。どれも巻数はお手頃で、雨の日に家でちょっと時間を潰すには丁度よいボリューム感ではないでしょうか。マンガを読んで、ジメジメとした気分を吹き飛ばしましょう!
©眉月じゅん/小学館, ©びっけ/エンターブレイン, ©安藤ゆき/集英社, ©河内遙/講談社