2018.06.19
【日替わりレビュー:火曜日】『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』環望
『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』
先日紹介した『Fate/Apocrypha』には、”黒のランサー”ことヴラド三世が登場します。ご存知、ブラム・ストーカーの小説に登場する吸血鬼・ドラキュラ伯爵のモデルとなった人物。
ヴラド三世に刺激されて、ヴァンパイア物を摂取したい欲に駆られまして手にとったのが『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』。1巻が出てからちょうど12年経ちますが、何度読んでも夢中になるヴァンパイア物語です。
東京湾内の埋立地にヴァンパイアの特区を建設。そこを統治するヴァンパイア族の女王ミナ・ツェペッシュと、ミナに仕える普通の高校生にして、人狼の少年・鏑木アキラの闘争と尊厳を描くハードアクション。
ミナは少女の身体つきだけど、数百年を生きています。喋り方が古風で、王族らしい高貴な言い回し。「のじゃロリ」という言葉が生まれる前からのクイーンオブのじゃロリなのじゃ!
その魅力は「ヴァンパイア」+「プライドの高さ」+「ロリ容姿」+「超絶美女に変身」で数え役満です。同系統に『化物語』の忍野忍を思い浮かぶ人も多いと思います。どちらもシャフトがアニメ化している奇縁もあり、日本が誇る二大のじゃロリヴァンパイアとして崇め奉りたい!
……という軟派な切り口だけだと誤解されそうですけど、ヴァンパイアと人間の共存をテーマにしたドラマもまた盛り上げてくれます。人間のヒロイン・由紀はアキラが好きなのに、人狼アキラと女王ミナの絆を知って身を引くところは切なくてグッと胸にきます。
ミナを狙う三支族との血なまぐさい闘争も作品の目玉。権謀術数が飛び交う陰謀や騙し合いも、ミナを中心に茶飯事のように行われています。残酷なシーンやショッキングな現実もごまかすことなくキッチリと描く。だからこそアキラの決意や苦しみが伝わってきますし、彼の戦士としての矜持に心打たれるのです。
『スカーレット オーダー ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド2』に続いて、「Comicコロナ」で新章『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド A.S.O』もスタートしたばかり。
これからもミナ王女の活躍に期待できそうで今から楽しみです。
© 環望/TOブックス