2018.07.30

【まとめ】迂闊に契約すると危険!「ダークな魔法少女マンガ」8選! 

魔法少女といえば、歌に踊りにファンタジーといった少女向けのコンテンツのイメージが強かったが、2010年代以降は大きいお友達向けコンテンツの代名詞として用いられることも増えた。

もちろん今でも少女向けのメディアとして展開されているが、ここでは謎解きやバトル要素を含む大人向けの新しい魔法少女マンガを紹介したい。

『魔法少女サイト』

朝霧彩は学校のクラスメイトから暴力を受け、実の兄からも虐待を受ける不幸な中学生。

ある日「魔法少女サイト」なるウェブサイトが自室のパソコンに表示される。翌朝学校の下駄箱に行くと、そこには銃の形をした魔法のステッキが置かれていた。ステッキといっても、相手を瞬間移動させる拳銃型や、時間停止能力のあるスマートフォン型など、少女らしさは微塵もなく、魔法というより凶器に近い道具ばかり。

こんなすごい能力、タダで使えるわけではない。魔法少女の力には代償があり、この世界ではそれは「自身の寿命」というシンプルさ。魔法少女サイトには隠しページがあり、アクセスすると滅亡を意味する「テンペスト」の到来が予言されている。少女たちに強大な力を与える魔法少女サイトの管理者はけして彼女たちの味方ではない。中には同士からステッキを奪う「魔法少女狩り」も潜んでおりまるで人狼を彷彿とさせる、謎の多い物語だ。

彩を助ける奴村露乃の存在が凛としていてかっこいい。不幸な少女をより不幸に貶める仕組みは「悪者は誰なのか」「誰も助けてくれない」という現代社会の不透明な気分をよく表現している。

冒頭から猫や少女への虐待など暴力行為場面も多いので苦手な方は要注意。悲惨な展開に沿って成長する彩と露乃の絆は美しい。

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『魔法少女 俺』

アニメ化もされたアップテンポな魔法少女マンガ。

主人公は売れないアイドル卯野さき。ある日自宅にどう見ても極道よりの男が来訪。怯えていたさきだが実の母から「お母さんね…実は魔法少女やってたのよ……」と真顔で告げられる。実は極道の男は母の使い魔で、引退した母親の代わりにさきは魔法少女の契約を迫られる。

そんな中、初恋の幼馴染が危機に陥ったことをきっかけにやむなく変身すると、かわいい衣装に身を包む屈強な男に成り果ててしまう。戦闘向きという理由で女装筋肉男に変身したさきの受難に満ちた魔法少女ライフはおばかで気楽なコメディだけではなく、百合やBL要素もある。

一見異色のマンガだが、秘密を抱えて奔走するアイドルには魔法少女に求められる王道のノリがある。上下巻で完結。

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『少女決戦オルギア』

おねロリマンガ『柚子森さん』で人気の江島絵理先生による魔法少女マンガ『少女決戦オルギア』は完全な非日常バトル・ファンタジー

怪物の標的とされた親友・緋乃の命を救うために、主人公の水巻舞子が最強の怪物「サンダルフォン」を巡る、二十年に一度の魔術決戦に身を投じる。容赦なしの殺戮戦なので中盤以降はかなり熾烈。早足感はあるもののラストは圧巻だ。

一方で舞子とその友達、ライバル少女たちとの日常回もあり微笑ましい。合間合間のモブだらけ四コママンガが異様に充実している。

後に続く『柚子森さん』の片鱗が垣間見えるクール美少女や無邪気な主人公など、様々な美少女を堪能しよう。全三巻。

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『まちカドまぞく』

普通の高校生の吉田優子に、ある日突然角と尻尾が生える。優しげな母から聞かされた秘密は「闇の一族の末裔で現在は『家族四人で月四万円』の呪いがかかっている」という世知辛い一族事情だった。

魔法少女の生き血をご先祖の像にまぶせば生活が明るくなると教わり、暗黒役所に活動名を提出。その活動名は「シャドウミストレス優子」! 

通称シャミ子の華麗なる世界支配が始まるのかと思いきや、運動神経も封印されているせいでトラックに轢かれそうになる始末。交通事故の寸前で、ワールドワイド規模で有名な魔法少女の千代田桃に救われる。それ以来桃に戦いを挑むも、筋トレが趣味の桃に弱さを心配されて走りこみを強いられたり、経済的呪いがかかっていることを憐れまれて菓子パンや制服やパソコンを施されるなどしてしまう。

楽しくて時にしんみりできる良質のマンガ。三巻まで刊行済。求むアニメ化!

『間違った子を魔法少女にしてしまった』

タイトル通りの内容で、第一話のサブタイトルは「誰だてめえ」。暴力と仁義がまかり通る、渋すぎる魔法少女マンガだ。

主人公の真風羽華代(まじばかよ)は眼前に現れる屈強な敵を腕力だけで倒す無敵の魔法少女。魔法のステッキはあまり使わない。「勝手に無許可で」魔法少女として選ばれたことを毒づきながらも敵を「ぶっ殺し放題」という名目に引かれて請け負う魔王のような存在だ。しかし、初めての変身場面で、一旦裸になるくだりで使い魔に対して激怒するなど、まっとうな羞恥心をあらわにする女の子らしい(?)一面も忘れない。

斬新な設定に見えるが、彼女の言動は「まとも」な意見ばかり。魔法少女の制約を覆す華代様の拳には筋が通っている。三巻まで刊行済。

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『魔法少女は笑わない』

悪の組織が飼っている猫とボスの日常を描いたショートギャグマンガ『悪のボスと猫。』で人気を博したボマーン先生による魔法少女マンガ。

魔法少女といえばキュートな笑顔をふりまきながら活躍する姿が期待されるものだが、主人公のイオリは笑顔が下手な魔法少女だ。それだけなら強張った笑いが噂になるくらいで済むが、彼女のエネルギー源は「笑い」。しかも、相棒の魔法少女エミのエネルギー源は「怒り」。不良キャラで周囲から恐れられているエミとイオリの、対照的なボケツッコミが微笑ましい。

笑わないと戦えないというロジックもうまく機能しており安心して読める。適度に日常、適度にバトルが配置され妙な下ネタも入らない。

ボマーン先生らしい「誰も傷付かない笑い」を輩出する素養が感じられて安心な一冊。一巻で完結。

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『魔法少女のカレイなる余生』

黎明しじまは立派な魔法少女を目指して国の養成機関である魔法少女養成学校へ編入。併設された寮で他の魔法少女と暮らすことを心待ちにしていたが、そのボロい建物は中に入ればゴミ屋敷。住人は引退した元魔法少女ばかりという環境だった……。

年齢が止まったクセのある美少女たちの飲酒や盗撮に巻き込まれながらも、大掃除を敢行したり、引きこもりを外に連れ出そうとしたりと甲斐甲斐しいしじま。

危機感がない展開に見えるが、次第にしじまのブレーキのきかない恐ろしげな本性や、だめな元魔法少女たちの独身女性らしい悩みや本心が漏れてくる。二巻まで発売中。

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『ゆせそま。』

「ゆせそま」とはゲーム用語で勇者・戦士・僧侶・魔法使いの略だ。

原峰あずさは魔法女児「らんどせる☆スターズ」のリーダー。魔法の国「グルミーランド」の平和を取り戻すべく悪を打ち倒したが、その途端にこれまでのすべての冒険がテレビ番組の撮影舞台であったことを知ってしまう。実は「グルミーランド」は人間社会よりも高度な文明社会。「らんどせる☆スターズ」はエンターテイメント事業を提供する魔法の国の企業コンテンツにすぎなかったのだ。

現実を知り落胆するあずさの前に再びプロデューサーが現れ、彼女を続編へ誘う。当然乗り気でない主人公だがブラコンっぷりに目を付けられて大人たちの思惑通りに焚きつけられてしまう。

魔法少女というより芸能地下アイドルのような生々しさが特徴的だ。全二巻。

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それにしてもかつて魔法少女となる対価であったはずの「変身」や「成長」、その目玉である「スター性」はいつしかごっそり失われてしまった。
少女の憧れは魔法少女だけでなく、アイドル・芸能マンガへと分岐されてしまったのかもしれない。悪い噂を立てられたり、人目を忍んだりという場面が当たり前に織り込まれ、自己犠牲を強いられやすい昨今の魔法少女たち……。

変身による報酬もなしにひたすら苦労ばかりが目立って痛々しい設定が多い。

影の立役者・暗躍者といった報われない苦労を負わず、血族や地域社会から抜け出した時に、また別の魔法少女世界が構築されるのかもしれない。

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玉置こさめ

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