2018.02.12
【まとめ】壮絶なネタバレ!ハッピーエンドで終わらないマンガ
長い冒険の末に宿敵を倒し世界に平和を取り戻したり、甲子園に出場してヒロインの心を射止めたり、結婚したり、優勝したり、生き返ったり、星に帰ったり、生き別れた母に出会えたり。
七難八苦の末にハッピーエンドを迎えるのが一般的な「マンガの最終回」です。
ところが、中には読者の期待を裏切って「ハッピーエンドで終わらない、悲劇的な最終回」を迎えるマンガが存在します。
人気商売であるマンガ家が、なぜわざわざ読者を悲しませるようなラストシーンを描くのか?
そこには大抵、作者からの社会的なメッセージが込められており、読み終わった後は「あえてバッドエンドにしてまで読者に伝えたかったことってなんだろう?」と深く考えるきっかけを与えてくれるのです。
ストーリーだけでなく、作者の思いにも触れることができる。これもまたマンガの醍醐味なのではないでしょうか。
そこで今回は、ハッピーエンドで終わらない素敵なマンガをまとめてみました。
(ネタバレを含みますので、注意してください)
ハッピーエンドで終わらないマンガまとめ
デビルマン
とにかくすごい結末を迎えます。
マンガ史上、これよりも悲しい終わり方をする作品は存在するのでしょうか?
主人公の明(あきら)はひょんなことからデーモンと合体し、悪魔の力を持ったデビルマンとなります。人間に対して攻撃を仕掛けるデーモンに対し、デビルマンは人間を守るために立ち向かい、デーモンを撃破していきます。
そんな中、高名な科学者が「デーモンの正体は人間」と発表したことで政府公認の「悪魔狩り」が始まりました。これにより、悪魔の疑いがかけられた罪のない人々が暴徒と化した人間によって殺戮される事態に発展。さらに、陰謀により「明の正体はデビルマン」ということをバラされ、明の知人達も悪魔狩りによって殺されていきます。むごい。
明と友達以上恋人未満の関係だったヒロインの美樹(みき)も、容赦ない人間の手によって拷問された挙句、五体をバラバラにされ、首をはねられ、殺されます。 何の罪もないヒロインがこのような死に方をするマンガがかつてあったでしょうか?
惨殺された美樹の死体(生首が棒に突き刺さっている)を見て、明は「これが! おれが身をすててまもろうとした人間の正体か!」と激昂。
「地獄へおちろ、人間ども!」と、人間を殺戮する側にまわった明(デビルマン)は20年の歳月をかけて人類を滅亡へと追い込み、その後はデーモン軍団に戦いを挑み、敗れます。
最終回ではデーモン達がなぜ人間を襲ったのか、なぜ明に悪魔の力を与えたのか、色々な謎が解き明かされます。
そして、マンガ史に残る衝撃的なラストシーン。 戦いに敗れ、上半身のみの姿となった明の遺体を悲しく見つめるデーモン軍団の長、サタン。2人の後ろには無数の天使の群れが迫ります。
ちなみにこのシーン、あまりにも抽象的に描かれているため、読者に正しい解釈がされないこともあるのだとか。
まだ読んでない方は是非、『デビルマン』(永井豪/小学館)を読んで「最後に天使たちが登場する意味」を考えて欲しいと思います。
魔法騎士レイアース
「魔法騎士(マジックナイト)が召喚された本当の理由」を知った時、衝撃が走ります。
謎の世界であるセフィーロに突如として引きずり込まれた3人の女子中学生が主人公のファンタジー冒険マンガ『魔法騎士レイアース』(CLAMP/講談社)。彼女達はセフィーロの平和と秩序を支えるエメロード姫によって召喚されました。
エメロード姫に「神官ザガートによって幽閉されている。この世界を救ってほしい」とお願いされた物分かりの良い主人公達は、めちゃくちゃ頑張ります。
最終的にザガートを倒し、エメロード姫が幽閉されている城に向かう主人公達。これでめでたくハッピーエンド、元の世界に戻れると誰もが思った次の瞬間、
「私の愛するザガートを殺したのはあなたたちね……! 許さない!!」
と、怒り狂ったエメロード姫が強大な魔神の力をもって襲いかかってきます。衝撃的すぎる。
実は、エメロード姫はセフィーロを安定させるために存在する柱でした。ところが、エメロード姫はザガートを愛してしまったことによってセフィーロの安定よりもザガートの幸せのみを祈るようになってしまったのです。これによりセフィーロの崩壊を恐れたエメロード姫は「自らを殺してもらうために魔法騎士を召喚した」という真実が明かされます。
なんという自己中。
自分たちが召喚された本当の理由を知った主人公達は大きく動揺します。それでもエメロード姫の願いを叶えるために、なんとか力を集結させて撃破。エメロード姫は死にました。
元の世界に戻った主人公達は抱き合って泣き叫びます。そりゃそうだ。
「てゆーか、エメロード姫を殺しても、それはそれでセフィーロが滅ぶのでは?」
という疑問を抱く終わり方で、文句のないバッドエンドなのですが、ストーリーは続編の「魔法騎士レイアース2」へと繋がっていきます。
ドラゴンヘッド
主人公である高校生の青木輝(あおきテル)は、修学旅行の帰りの新幹線の窓から、黒い巨大な雲が世界を覆っていく様子を目撃します。そして、新幹線がトンネルに入った次の瞬間、大きな衝撃を受けて新幹線が横転し、大破。
この事故によって乗客のほとんどが死にますが、主人公のテルとヒロインの瀬戸憧子(せとアコ)は生き残ります。(ノブオという3人目の生存者もいますが、割愛します)
『ドラゴンヘッド』(望月峯太郎/講談社)は崩壊していく世界を舞台とし、極限のサバイバルの中、希望をもって生きるテルとアコの2人の姿を描いた作品です。
圧倒的な絶望を目にしながら、なんとか希望を見出し東京を目指すテルとアコ。道中、放射能に汚染された食料を食べたことによって脳みそが破壊され、恐怖を感じなくなった「竜頭(りゅうず)」という人々と出会います。タイトルがドラゴンヘッドなだけに、この竜頭との出会いが何かストーリーに関わるかと思いきや、特に何もありません。
やがて2人が辿り着いた東京の地にはこれといって希望がなく、ただ目の前には巨大な火山が大噴火を続けているという、世界の終わり的な光景があるのみ。
なんらかの大災害が起き、日本列島が沈没しかけていることを悟ったテルとアコ。
特に救いはなく、最終的に「人間は考え方次第でどうとでもなる」という主旨の考えに行き着き、前向きな感じでストーリーが終わります。
ある意味、潔い最終回だと思います。
©永井豪とダイナミックプロ/小学館, ©CLAMP/講談社, ©望月峯太郎/講談社, ©ジョージ秋山/小学館, ©松本洋子/講談社©せがわまさき/講談社
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