2018.02.12
【まとめ】壮絶なネタバレ!ハッピーエンドで終わらないマンガ
ザ・ムーン
大富豪の魔魔男爵は、悪がはびこる世界を平和に導くために、新たな神としてザ・ムーンという巨大ロボットを作りました。ザ・ムーンは純粋な心を持った少年少女たち9人が心を合わせることによって動く設定で、彼らはザ・ムーンを操縦することであらゆる悪と立ち向かいます。
日本に水爆を落とそうとする連合正義軍と戦ったり、ダムの決壊を止めたり、鉄人間を使って人々を襲う伯爵と戦ったり。ザ・ムーンと9人の少年少女達は正義の名の下に勝利します。
わりとよくある設定のロボット活劇だと思うのですが、問題なのは最終回です。
ある日UFOが現れ、見た目が犬の宇宙人「ケンネル星人」が地球にやってきます。ケンネル星人の目的は地球と友好関係を築くことだったのですが、一部の人間がケンネル星人の科学力を利用して地球を支配することを企みます。
その企みの最中でケンネル星人の探偵隊員を殺してしまったために、ケンネル星人が激怒。最終兵器であるカビ発生装置を地球に送り込み、1年以内に人類を滅亡させ、地球を滅ぼすことにしました。
カビは凄まじい繁殖力をもっていて、カビに汚染された人間は死にます。ザ・ムーンと少年少女達はカビ発生装置を破壊するために立ち向かいますが、たどり着く前に1人、また1人とカビの脅威にさらされて倒れてしまいます。
そもそも9人いないとザ・ムーンは動かないので、1人死んだ時点でゲームオーバーだと思うのですが、少年少女達は最後まで諦めずにカビ発生装置に立ち向かいます。
最終的にカビ発生装置の元へたどり着くことなく、最後の1人がカビに冒され倒れたところで、ストーリーは終わります。
魔物語(にんじん大好き!)
なぜ、「なかよし」でこれをやったのか? そう思わずにいられないのが、『魔物語』(松本洋子/講談社)という短編集に収録されたマンガ「にんじん大好き!」です。
主人公のたかしはにんじんが苦手で食べられません。お母さんには怒られるし、どうしたらにんじんが食べられるようになるのか悩んだ末、たかしは神様に「にんじんが食べられますように」とお願いをします。
すると不思議なことに、たかしはあらゆる食べ物がにんじんに見えるようになります。お母さんが作ったハンバーグもにんじんにしか見えません。しかし、食べてみるとハンバーグの味がして美味しいので、にんじんが好きになりました。
いつの間にか、本物のにんじんも食べられるようになり、お母さんにも褒められてご機嫌なたかし。すると今度は食べ物だけではなく、あらゆるものがにんじんに見えるようになりました。まさに、にんじんファンタジー!
そしてある朝、主人公が目を覚ますと目の前に大きなにんじんがありました。
「かぷっ」 と一口かじると、とても美味しい。
「はじめてだこんなの」 「こんなおいしいものがあったんだ!」
お腹がいっぱいになった主人公が台所に向かうと、にんじんが新聞を読んでいました。にんじんの正体はお父さんでした。
「おはよう たかし」 「どうした? ママは?」
次のカットで、内臓をブチ撒けて絶命しているお母さんの惨殺死体が描写され、END。
少女漫画らしく可愛らしい絵柄でありながら、話の内容は凄惨そのもの。多くの少女にトラウマを与えた作品です。
バジリスク 〜甲賀忍法帖〜
「竹千代と国千代、どちらを跡継ぎにすればいいのか決められない」という徳川将軍は、忍法の二大宗家である伊賀と甲賀から各10人ずつ代表者を選定し、10対10の殺し合いをさせることしました。伊賀が勝てば竹千代、甲賀が勝てば国千代を後継ぎにするというものです。
主人公の弦之介(げんのすけ)は甲賀の頭領。ヒロインの朧(おぼろ)とは共に生きることを誓いあった恋人同士ですが、弦之介は甲賀側、朧は伊賀側の代表忍者であるため、皮肉にも殺しあう運命にありました。
激しい戦いの末に1人、また1人と命を落としていく伊賀と甲賀の忍者達。1人死ぬごとに人別帖という巻物に書かれた忍者の名前を消していきます。実力者であった弦之介と朧は互いに最後まで生き残り、ついに2人は対峙することになりました。
朧のことを愛しながらも、甲賀の頭領として彼女を討つことに決めた弦之介は、剣を取るように朧に言います。しかし、朧には弦之介と戦う意思はなく「自らを殺して欲しい」と申し出ます。そんな朧の姿に戦意を喪失する弦之介。
そして、弦之介の気持ちを悟った朧はゆっくりと近づき
「大好きです」
と言い残し、短刀を自らの胸に押し当て自害をします。満面の笑みを浮かべながら。
最愛の人を目の前で失った弦之介は、人別帖に最後まで残された自らと朧の名前を消すと、「さいごにこれをかきたるは伊賀の忍者 朧なり」と書き足しました。
ラストシーンでは朧の亡骸を抱きしめながら、川へと入った弦之介が生涯最後の刃を自らに向けます。仲睦まじい2人の亡骸が寄り添いながら、ゆっくりと川を流れていき物語は幕を閉じる。
悲しすぎる。まさに悲劇としか言いようがない2人の運命。
ただ、あまりにも美しいラストシーンでもあるので「これはハッピーエンドなのでは?」と思うこともあります。
まとめ
いかがでしたか? 世の中、大団円ばかりではないんですね。
今回ご紹介したマンガは個人的な主観で「ハッピーエンドじゃないマンガ」としてしまいましたが、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、読み手の受け取り方によって分かれるケースも多いようです。
他にも思わず考えてしまうようなエンディングを迎えるマンガはたくさんあります。面白い終わり方をするマンガがあったら是非、教えてくださいね!
©永井豪とダイナミックプロ/小学館, ©CLAMP/講談社, ©望月峯太郎/講談社, ©ジョージ秋山/小学館, ©松本洋子/講談社©せがわまさき/講談社
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