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2018.07.27

【日替わりレビュー:金曜日】『悟れません卍』イスズ

『悟れません卍』

マンガにおいてお坊さんって結構需要あるんですかね?

『5時から9時まで』とか、『ボーズラブ!』とか『さんすくみ』とか『ぼくの輪廻』とか、あとは最近話題になった『僧侶と交わる色欲の夜に…』とか、女性向けマンガって定期的に僧侶が登場する作品が現れるんですよね。

こちら『悟れません卍』もそんな“お坊さんもの”に分類されるであろう作品の一つ。イスズ先生による初単行本になります。

物語の内容は表紙から受ける印象そのまま、僧侶とギャルという水と油な2人のラブコメ

主人公・は見ての通りのギャル。親の借金により家は差し押さえられ、学校は転校を余儀なくされ、幼い弟と2人きり露頭に迷うことに。そんな彼女に手を差し伸べたのが、実家がお寺のクラスメイト・清正。流れるままに、お寺で弟と共にお世話になることになります。清正は僧侶を志しており、その名前の通り清く正しく、高校生ながら仏教の修行に余念がありません。彼からすると、派手な格好をしている杏は、俗物であり、忌むべき存在。ふわふわとした言動の杏に対して手厳しく接する清正でしたが……というお話。

杏は派手な格好をしていますが、借金まみれの家を助けようと、バイトに家事に明け暮れる毎日と、実は結構な苦労人。派手な格好をしているのは、弟に「お姉ちゃんは苦労をしていて大変」という無用な心配をかけさせないためで、根は真面目な女の子だったりします。

ただ結構能天気でアホっぽいところがあるので、その見た目と言動が絶妙にマッチしてしまい、初見ではその真面目さを見抜くことはなかなか難しい。清正も最初は色眼鏡で彼女を見ていましたが、一緒に生活をする中で、その魅力に気づいていくことに。

杏と接するたびに、不意に高鳴る清正の胸…そう、恋のはじまりです。けれどもそれは、僧侶を志す彼からしたら煩悩でしかないわけで、自身の変化に戸惑いを隠せません。

イケメンではあるのですが、恋とは無縁に、その生き方は極めて不器用な彼は、心の乱れを制御することができずに迷走することに。しかもそれが2話目3話目とかで出てきちゃうので、一番最初の孤高の人感というか、「こいつめちゃガードかたそうだな…」というイメージがあっという間に崩れていく様子が、面白かわいいです。

てかむしろ、誰かのために一生懸命素直に行動できる杏の方が、人間的には出来上がっている感すらあったり。なので、ダメダメなヒロインが、しっかりもののヒーローに律されつつ日々を送る……みたいな体を取りつつも、その関係は思っている以上に対等。ひとつ屋根の下だったりお坊さんだとか色々要素を取り入れていますが、その実かなり純度の高い、良い意味で普通のラブコメだったりします。

冒頭のお寺にお世話になるくだりもさることながら、ストーリーは全体的にかなり粗め。けれどもそれを補ってあまりある、怒涛のラブイベント・ラブハプニングの数々。高校生の僧侶がキャバクラ行ったりナイトプール行ったりしないでしょう? 普通は。でも、それをサラッとやってしまうのがこの作品。

ラブコメってのはこれぐらいドタバタやって転がすんだよ! というような作者さんの気概が端々に感じられます。素晴らしい。ラブコメ好きは是非ともチェックしてほしい一作です。

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この記事を書いた人

いづき

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