2018.08.08
【まとめ】寮に下宿にシェアハウス!ひとつ屋根の下な共同生活マンガ
うら若き男女6人の共同生活をやたらオシャレに演出して映し出す「テラスハウス」、流行りましたよね。
あの番組の登場により、世間的にシェアハウスという言葉はより一般的になり、実際にシェアハウスで暮らす人も増えているようです。
それは女性向けマンガの世界も同じ。「テラスハウス」以降、シェアハウスを舞台とした作品が多く登場するようになりました。それまでは寮だったり、両親の再婚でお家に兄妹が増えたりと言った設定が定番だった「ひとつ屋根の下」というジャンルの幅が広がり、一層充実。
というわけで今回は、シェアハウスや下宿、寮と言った少女マンガの王道「ひとつ屋根の下」系の少女マンガをご紹介したいと思います。
『リビングの松永さん』
シェアハウスって、設定的に高校生にはハードル高いんですよね。やっぱり親御さん的にも、そんなところに大事な娘を放り込むのは嫌なわけで。シェアハウスものの作品を見渡してみても、主人公の年齢は大学生以上が多い。そんな中、果敢にも花の女子高生を投入してきたのがこちら『リビングの松永さん』。
シェアハウスに住む経緯ですが、両親の事情により叔父の元に預けられることになったものの、叔父は出張で留守がちになるので、叔父の経営しているシェアハウスで住んだ方が安心という流れ。うん、全く無理のない設定デスネ(棒読み)。
住人は主人公のミーコを除いて、その殆どが社会人(一人だけ大学生だったかな)。いずれもしっかり者で社交的で、「シェアハウスの住人ってこんな感じですよね」っていうイメージをそのまま持ってきましたみたいな、リア充感溢れるメンツ。まさにシェアハウスものを読みたいという人にうってつけなシチュエーションとなっています。
この住人のうち、やたらと熱血漢なデザイナー・松永さんに恋するミーコ。一応住人たちも分別をわきまえている大人なので、そもそもミーコそういう目で見ることが無いのが、安心でもあり、ミーコからすれば歯がゆくもあり。ひとつ屋根の下だからこそ、そりゃあもう色々ハプニングも起こるわけで。そんな中、浮き沈みするミーコの心情をドキドキしながら見守りましょうというお話です。
『恋とヒミツの学生寮』
寮も立派な「ひとつ屋根の下」のフォーマット。けれども大体男子寮か女子寮と相場は決まっているので、男女混合というのがなかなかハードル高いのです。
そこをかいくぐるウルトラCと言えば、『花ざかりの君たちへ』方式。実は最近も、ひとつ屋根の下の名作『L♡DK』の作者・渡辺あゆ先生が『メンズライフ』という新連載でそれをやってるのですが、これがなかなか衝撃的な出来栄えでして……。そちらをご紹介しても良いのですが、今回は正攻法で行きましょう。
『恋とヒミツの学生寮』は、ラブコメ力の高いアサダニッキ先生が送り出す、文字通り学生寮での恋物語。
この作品の場合、男女混合の寮が舞台となるのですが、誰でも彼でも入れるわけではなく、成績が超優秀なごくごく一部の生徒しか入寮できないという制限があるのです。なので、生徒たちは恋愛よりも勉強(そもそも恋愛禁止というルールもありますが)。ゆえにやんごとないことも起こらずに、秩序が保たれるというわけ。
で、そんな寮に、特別な事情でおバカクラスの生徒・あさひがその身分(バカであること)を隠して入寮することに。この子は勉強よりも恋に青春に……というタイプですから、ソッコーでとある男子に恋をしてしまいます。勉強ができないこと、そして恋をしていることをヒミツにしながらの、ドッキドキなドタバタラブコメディ。日替わりレビューでも紹介していますので、こちらもぜひともチェックください。
【日替わりレビュー:金曜日】『恋とヒミツの学生寮』アサダニッキ
『ショートケーキケーキ』
シェアハウスは高校生という年齢設定だとちょっと難しいな……でも寮もちょっと……という方(誰?)にうってつけなのが、そう、下宿です。リアルでは「下宿やってる」って人にも、「下宿住んでた」って人にも会ったことが無いのですが、少女マンガの世界には結構な割合で下宿生がいます。不思議。
寮やシェアハウスと何が違うのかという所ですが、寮よりも人数が少なく、シェアハウスと違って同じ世代の子しかいないという旨味があるのです。そんな下宿もので、今一番オススメなのが、『ショートケーキケーキ』です。
片道数時間かかる通学を続けるのは不満は無くとも何かと不便ということで、友達のいる下宿にお世話になることになった、主人公・天。下宿先には、男女5人、管理人さんも相応に若い女性で、天も含めて合計7人が一つ屋根の下で暮らしています。そんな中、イケメン男子2人と急接近。安心感はあるけれど代わり映えのない毎日から一変、刺激に溢れる日々の中で、初めて知る感情が芽生え始めていきます。
やっぱり男女入り乱れたら発生してほしいのはラブバトル。『バチェラー』ほどは行かずとも、切なくキュンキュンするような三角関係ぐらいはみたいもの。これまでご紹介してきた作品は、そういった要素は少なめなのですが、本作はしっかり同じ建物内でバチバチの関係が描かれております。わがままな読者(というか私)の欲求に見事に応えてくれており、満足満足。
ちなみに、三角関係がもつれていった結果、2人のうち片方が急激に三枚目化していくのですけど、そういうところ含めて面白いので見てもらいたいところです。
『椿町ロンリープラネット』
ひとつ屋根の下ということでは、本作も外せません。これまでの作品とは異なり、大人数ではなく2人きり。かなりの人気作で、そろそろ映画化の話とか出てきても良い頃だと思うんですが、どうでしょうかね?
あらすじですが、父親の借金を返済するため、高2の主人公・ふみが住み込みで家政婦をすることになるというもの。お世話になる先は、人気時代小説家・木曳野暁のもと(時代小説家と言っても年齢は若い青年です)。
ここまででもなかなか突拍子もない展開なのですが、この暁がまたクセの強い男でスゴい。あまり世間と関わっていないためか浮世離れしており、態度が悪く、またヒロインのことを「娘」とか呼ぶという、なかなか上級者向けのお人となっております。
そんな導入なので、結構違和感たっぷりで読み始めることになると思うのですが、これが読み進めるとハマってしまうんですよね。暁の不器用な優しさであったり、ふみの健気な姿であったり、最初こそ距離感のあった2人が、同居生活を続けるごとに徐々に離れられなくなっていく様子が垣間見えたり……。疑似夫婦とでも言いましょうか、そんなドキドキと安らぎを与えてくれるラブストーリーとなっています。
というわけで、4作をご紹介しました。一つ屋根の下ならば、両親再婚で兄妹になっちゃうヤツ挙げてくれよって話もあるかもしれないのですが、あれは家族ゆえに好きになっちゃいけないみたいなジレンマがあったりするので、楽しむベクトルがちょっとこれらとは異なるかな、と敢えてピックアップしていません。
その設定での個人的なオススメを言うなら、最近は蒼樹うめ先生の『微熱空間』がダントツで良いです(女性向けマンガじゃないですけど)。もう読んでてニヤニヤが止められない止まらない。破壊力がものすごいです。
そういえば私も、大学時代に寮生活をしていたのですが、こんなトキめくような展開は一度も無かったなぁ……。そんな寂しい想い出を噛み締めながら、これらキラキラな作品たちを読み返し、感傷に浸ることになったのでした。以上!
©岩下慶子/講談社, ©アサダニッキ/講談社, ©森下suu/集英社, ©やまもり三香/集英社