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2018.09.12

【インタビュー】『新婚のいろはさん』『超可動ガールズ』ÖYSTER「”何気ない普通の日”をなるべく描きたい」

シュール&ハイテンションなギャグ4コマをこれまでに数多く生み出し、ファンの間では「4コマ界の鬼才」とも称されるÖYSTER(オイスター)先生。

現在連載中の作品のうち、『新婚のいろはさん』は「月刊まんがタウン」(双葉社)誌上で高い人気を誇り、『超可動ガールズ』はその原点ともいえる前作『超可動ガール1/6』TVアニメ化が決定するなど、ここへきてさらに活躍の勢いを増しています。

そこで今回は、作者のÖYSTER先生に単独インタビューを敢行!

8月9日にコミックス2巻が発売された『新婚のいろはさん』、本日9月12日に1巻が発売された『超可動ガールズ』、そして先生の作風の原点など、たっぷりお話を伺ってきました。

『新婚のいろはさん』2巻書影

『超可動ガールズ』1巻書影

また、『超可動ガールズ』に関しては、前作『超可動ガール1/6』のアニメ化を受けての先生ご自身のコメントもどこよりも早くお届けします。こちらもお楽しみに。

(取材・文:ましろ/編集:コミスペ!編集部)

「ごく普通の夫婦もの」として描いている『新婚のいろはさん』

──まずは、『新婚のいろはさん』についてお伺いします。シュールなネタが多かったこれまでのÖYSTER先生の4コマと違い、本作を日常ラブコメ4コマにしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

『新婚のいろはさん』1巻書影

あらすじ:なんでもない毎日が、とても幸せ…。鬼才が送る、新婚夫婦の日常4コマ。新居に引っ越してきた、いろはさんとハジメくん夫婦。ゼロから、少しずつ自分たちの生活を作っていきます。家電を買いに出かけたり、深夜にコンビニへ行ったり、そんななんでもない日常が、二人にはかけがえのない幸福なのです。読むものをたまらなくあたたかい気持ちにさせる(ギャグの冴えもそのままの)一冊です。

ÖYSTER先生(以下、ÖYSTER):前作の『ど先端ナース』が終わって、次の連載はどうしようかという話になったとき、担当さんに「ごく普通の夫婦ものとかどうでしょう」と持ちかけられたのがきっかけです。

「月刊まんがタウン」担当編集(以下、担当編集):「どうでしょう」というよりは、「いいから普通の4コマを描け」的なニュアンスで言ったような……。

ÖYSTER:そのときは普通のものを描こうという意識が全然なかったので、「じゃあ旦那さんがカワウソとかでもいいですか?」「いや、普通で」みたいなやりとりを何度か繰り返したんですが……。最終的に僕が折れました。

そろそろ心を入れ替えて、素直に担当さんの言うことも聞いてみようと。その結果、読者の方からの評判もよくなったので、人の話は聞いたほうがいいなと思いましたね。特に担当さんの話は(笑)。

「あのÖYSTER先生が普通のラブコメ4コマ描いてる……」と、ファンも騒然とした。

──前作までは、ÖYSTER先生の好きなように描かれていたと。

ÖYSTER:そうですね。わりと自由に描かせてもらって、そういった作品がいいと言ってくださる方もいたんですが、あまり好き勝手にやりすぎても大勢の支持は得られないなと『ど先端ナース』のあたりで実感しまして。「いろはさん」の方向性は正しかったというか、試してみてよかったです。

──作中のエピソードには、ÖYSTER先生と奥様の結婚生活が元になったものもあるのでしょうか?

ÖYSTER:結構あります。2巻の話だと、ふたりでパンケーキを食べに行く話とか、自分ひとりじゃ絶対に行かないなという感覚自体もマンガのネタになっています。

結婚とは、男がパンケーキを食べることと見つけたり。

──マンガのネタを探すために、あえて奥様と出かけてみることもありますか?

ÖYSTER:わざわざはないですが、きっかけになることはあります。あそこ行ってみようか、どうかしようかと迷ったときに、「いろはさん」のネタに使えるかもしれないしと軽い後押しになったり。

むしろ、奥さんがたまに言いますね、「マンガに描けるかもしれないから行ってみよう」って。出かけるダシに使われているのかも(笑)。

彩葉さんは、自分のマンガのヒロインの集大成

──ÖYSTER先生から見たヒロインの彩葉(いろは)さんは、どのようなキャラクターですか?

ÖYSTER:彩葉さんは、なるべく普通で、どこにでもいそうで、誰からも愛されるような人というバランスを考えて作ったキャラクターです。

彩葉さんに朝起こしてもらいたいだけの人生だった。

『ど先端ナース』のとがりさんは、いかにもマンガマンガしている強烈なキャラだったので、彩葉さんはとにかく「普通の奥さん」として多くの人に好まれるようにしました。また、彩葉さんは僕が今までに描いてきたヒロインたちの集大成でもあると思います。

──それぞれのヒロインたちのいいところを、彩葉さんは持っているということでしょうか?

ÖYSTER:ベースになるのは、『男爵校長』のアリカですね。あの子が僕の考える最もスタンダードなヒロイン像で、他の女の子はそこから少しずつ派生させているんですが、特に彩葉さんは正統派というか。アリカがまっとうに大人になって結婚すると、こういう女性になるのかもしれないなと。

──2巻で、彩葉さんが博多弁を喋っているシーンがありましたが、彩葉さんたちは福岡県出身なのでしょうか?

ÖYSTER:彩葉さんは、仰るとおり福岡県出身です。マンガで喋っている博多弁はあまり正確ではないかもしれませんが、ご容赦ください。

博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?

始(はじめ)くんは、家の事情であちこち引っ越しをしていて、子どものころに住んでいた福岡で彩葉さんに出会ったという設定になっています。まだマンガでもちゃんと描いていない部分ですけど。

──あ、記事には書かないほうがいいでしょうか?

ÖYSTER:いえ、別に秘密にしているわけではないので。本編でもおいおい描いていく予定です。

話は脱線しますが、「いろはさん」は『よつばと!』を参考にしているところが結構あって、あのなんでもない空気を自分も出したいんです。なので、キャラクターの設定もいろいろ考えてはいるものの、はっきりとは描かず、少しずつ小出しにして読者に察してもらえたらいいなと思っています。

──始くんの職業は4コママンガ家ですが、そうすると、彼の性格にもÖYSTER先生ご自身が投影されているのでしょうか?

ÖYSTER:そうですね。ただ、自分自身というよりは、僕も始くんのような人間になりたいと思いながら描いているフシもあります。

──むしろ、始くんがÖYSTER先生の理想の姿?

ÖYSTER:始くんって、連載を4本も持っているのですごく忙しいはずなんですが、締め切り前でもいつも穏やかで優しいんですよね。僕の場合、時間がなくなってくるとカリカリして奥さんにあたってしまうこともあるので、その反省を踏まえての理想の姿です。

連載が打ち切られたときは、さすがに情緒不安定になる始くん。

──当初はシュールな4コマばかり描いていた始くんが、途中からかわいい女の子が出てくる4コマも描くようになりましたね。

始くんの新連載。彩葉さんいわく「意味が分かる」。

ÖYSTER:それこそ、僕が「いろはさん」を描き始めたのと同じ経緯です。自分が描きたいものだけでなく、読者がどんなマンガを読みたいのかも考えるようになったんじゃないかと。

僕自身、自分が安心して読んでいるものって何だろうと振り返ってみると、意外と自分が描きたいものと違っていたんですよね。その辺の感覚も、始くんに重ねているところがあるかもしれません。

人生に不要なものを生み出すために、マンガ家は人生をかける。

──『新婚のいろはさん』1巻と2巻それぞれで、お気に入りのエピソードがあれば教えてください。

ÖYSTER:1巻だと、第12話の「四日間」。彩葉さんが帰郷して、始くんがしばらくひとりで過ごすお話ですね。

たまにはひとりの時間も悪くないけど、やっぱり……という。主役のどちらかがいない話は、ある程度話数を重ねてからじゃないと描きにくいので。各話のタイトルは単行本が出るときにつけるんですが、「四日間」というそっけなさもはまったなと思います。

彩葉さんなしには生きられない体になってしまった始くん。

2巻では、第16話の「かごのとり」がお気に入りです。ずっと家の中にいて、外は雨が降っていてという、僕の好きなシチュエーションですね。

「かごのとり」というのは要するに比喩なんですが、明るくて友達も多い彩葉さんを自分は「奥さん」として束縛しているんじゃないか、と不安に感じる始くんの気持ちがうまく描けたかなと。彩葉さんの返しが「そんなことないよ」で終わらないのも、個人的に気に入っています。

担当編集:16話は、ニコニコ静画の配信でもコメントがいっぱいつきましたね。

深刻な壁不足。

ÖYSTER:16話は、「いろはさん」で目指しているコンセプトが実現できた話だったと思います。家の中で会話をしているだけで、どこにも行ってないし何も起きてないけど、そういう時間も大切だよなといつも思っていて。

もちろんどこかにお出かけするのも楽しいですが、「いろはさん」では何気ない普通の日がなるべく描けたらいいなと考えています。

『超可動ガール1/6』アニメ化決定!シリーズ最新作『超可動ガールズ』

──続いて、『超可動ガールズ』のこともお聞きしていきたいのですが……。『超可動ガール1/6』アニメ化おめでとうございます! と言ってしまって大丈夫でしょうか?(※取材は8月末に実施)

ÖYSTER:はい、大丈夫です。本当はコミックス1巻の発売日(9/12)に初めて告知される予定だったんですが、この前、Amazonに帯つきの書影が間違って載ってしまって。

僕もそれを見て、アニメ化のこともう言ってもいいのかなと思って、念のため「ガールズ」の担当さんに確認したら、「ごめん、出ちゃってた。すぐ消すから」と(笑)。

──アニメ化が正式に決まったのはいつごろなんでしょうか?

ÖYSTER:完全に決まったのは、ほんの1ヶ月前くらいです。なんとかコミックス発売までに間に合わせてもらいました。アニメに関する詳しいことは、「月刊アクション」(毎月25日発売)で少しずつお伝えしていけると思います。

──前作の『超可動ガール1/6』が2016年に完結して、2017年9月に『超可動ガールズ』として復活した経緯を教えていただけますか?

あらすじ:動く美少女フィギュアが押しかけ女房する『超可動ガール』シリーズ最新作。少女型惑星探査機・ノーナ、RPG勇者・ベルノア、2D格ゲーキャラ・すばるといった、ちっちゃ可愛い【超可動ガールズ】が、オタク男子・春人と巻き起こす日常感マシマシのラブコメディ。愛があればサイズ差なんて!?の第1巻。

ÖYSTER:「1/6」は、個人的にはもっと続けたかったんですが、コミックスの売上などがちょっと振るわず……。もうすぐ話を締められそうだったので、5巻を出さずに終わらせることになりました。最終巻の4巻だけ少しぶ厚いのはそのためです。

それからしばらく経ったあと、担当さんから急に「もう1回やる気ある?」と連絡がきて。アニメ化の原作を探しているところがあって、候補のひとつに「超可動」も挙がっているので、現在連載中ということになれば推薦もしやすいと。

「1/6」で描き逃したエピソードもたくさんありましたし、ぜひやりたいと返事をしたのが、復活までの流れになります。

──ニコニコ静画の「月刊のアクション」での連載になったのも、担当編集様からの提案だったのでしょうか?

ÖYSTER:それは僕の希望です。担当さんからは、「月刊アクション」の雑誌でもニコニコ静画でもどちらでもいいと言われていて。せっかくなので、まだやったことがないWEB連載を試させてもらいました。

──作品についたコメントはご覧になっていますか?

ÖYSTER:もちろん、いつも見ています。どこを面白がってくれているのかが直接分かっていいですよね。

──コメントの意見を、作品に反映されたりも?

ÖYSTER:本筋とは関係ないところで、「これ分かる人いるかな?」というような小ネタをわざと入れてみたりするようになりました。

例えば、2話で春人が「人生には仕事よりよっぽど大切な事が」「タコを上げよう」と言うシーン。あれは、『メリー・ポピンズ』の映画のオマージュです。ひとりかふたりでも、ちゃんと気づいてくれる人がいるとうれしいですね。

映画好きのÖYSTER先生ならではの小ネタ。

──『超可動ガールズ』は、「1/6」のころよりも日常ラブコメ成分が増えているように感じましたが、これは意図されたものなのでしょうか?

ÖYSTER:はい、「ガールズ」では日常ラブコメを多めにしています。「1/6」では、こんな話を描きたいと温めていたストックを消化する前に連載が終わってしまったので、まずはそれらを描いていこうと。

「1/6」では描かれなかった、ヒロインとのデート回も。

ÖYSTER作品を読み解くキーでもある、劇中劇『少女→惑星探査』

──『超可動ガールズ』には、前作のタイトル通り1/6サイズ(約25cm)の小さなヒロインたちが数多く登場しますが、特にお気に入りのヒロインはいますか?

ÖYSTER:やっぱり、主人公のノーナが特別ではあります。彼女は劇中劇のアニメ『少女→惑星探査』のキャラクターですが、最初は『少女→惑星探査』のお話そのものをマンガで描きたかったんです。

ノーナは、自分が『少女→惑星探査』のキャラクターであることをメタ認知している。

とはいえ、ずっとひとりで宇宙を放浪する話を連載でやるのは難しいと思ってお蔵入りしていたところ、ちょうど「1/6」を始めることになり、じゃあノーナを出してみようと。もちろん他のヒロインたちも平等に好きですが、キャラクターとしての厚みはやっぱりノーナが数段上ですね。

──劇中劇の『少女→惑星探査』は、『男爵校長High!』にも登場していますよね。「超可動」シリーズと「男爵校長」シリーズは、同じ世界の物語と考えてよいのでしょうか?

ÖYSTER:そうですね。ちょっとややこしいんですが、『少女→惑星探査』は、「男爵校長」の月彦というキャラクターが書いた小説がアニメ化された作品という設定になっています。

──月彦が自分の研究内容を元にして書いたという、あの……。

ÖYSTER:「ガールズ」1巻の描きおろしにも『少女→惑星探査』の読み切りを描いていますが、その中にも月彦が研究員としてカメオ出演しています。

あとは、月彦の助手だったウナも。『少女→惑星探査』が月彦の研究を元に書かれた小説で、その中に少女型惑星探査機としてのウーナが登場するということは……、そういうことです。

少女型惑星探査機の一号機「ウーナ」。ノーナは「九号機」にあたる。

──そうだったんですね。「男爵校長」も読ませていただいていたんですが、気づきませんでした……。

ÖYSTER:まあ正直、あんまり分からなくてもいいかなとは思っています。ヒント不足でもありますし。「男爵校長」を読んでいなくても、「ガールズ」だけで楽しめるようには描いているつもりです。

──エイプリルフールのネタにもなっていましたが、『超可動ガールズ』の春人と『新婚のいろはさん』の始くんの見た目が似ているのは、意図されたものなのでしょうか?

ÖYSTER:あえて似せたというよりは、使い回したという感じでしょうか。「1/6」が終わってから「いろはさん」の連載が始まったので、男性キャラはほぼ同じでいいやと。

──あの顔の男性キャラが、ÖYSTER先生的には描きやすい?

ÖYSTER:そうですね。顔の輪郭とか。「まんがタウン」の最新号(2018年10月号)で、始くんが珍しくスーツを着るんですけど、そうすると今度は『光の大社員』の輝戸くんにもなることに気づきました(笑)。

ÖYSTERワールドの原点に迫る

──ÖYSTER先生は現在、連載3本(『新婚のいろはさん』『超可動ガールズ』『ウムルとタウィル』)に加え、『ケロロ軍曹』のアシスタントもされていて非常にお忙しいと思われますが、1ヶ月のおおまかなスケジュールを教えていただけますか?

ÖYSTER:まず、月末から月初にかけて「ガールズ」を描いて、そのあと月半ばのちょっとあとくらいまで「いろはさん」の原稿をします。「ウムル」は週1で締め切りがあるんですが、毎月のスケジュールの中に毎週が入ってくるので、いまだにペースが掴みづらいですね。

月半ばには「ケロロ」の仕事もありますが、僕は背景だけざっと描いてすぐ帰っちゃうので、あまり時間は取られません。吉崎観音先生のアシスタントは、「ケロロ」が始まる前からやっているので、もう25年くらいになりますし。

──マンガのネタは、いつ考えられていますか?

ÖYSTER:メモをいつも持ち歩いていて、なんでもないことでも全部書き残すようにしています。ちょうど、「いろはさん」の始くんが持っているような手帳サイズのやつです。

始くんと同様、ÖYSTER先生もメモを肌身離さず持ち歩いている。

メモが大事だというのは、ここ数年で痛感するようになりましたね。20代のころは、思いついたことを何個でも脳にストックしておけたんですが、いまは忘れちゃうので(笑)。

──ÖYSTER先生の作品は、カギカッコを多用した言い回しが印象的ですが、セリフを考える上で意識されていることは何でしょうか?

ÖYSTER:強調したい言葉にカギカッコをつけるのは、『ジョジョの奇妙な冒険』の影響もあるかもしれません。カッコいいですからね、あれ。ただ、担当さんにも「カギカッコが多い」と言われてしまったので、「いろはさん」では多少減らしています

減らしてもなお多いカギカッコ。

──子どものころは、どのようなマンガを読まれていましたか?

ÖYSTER:一番古いものだと、松本零士先生の『銀河鉄道999』でしょうか。家にマンガが置いてあって、幼稚園のときから読んでいました。

僕の作品のSF要素は、「999」の影響がかなり大きいと思います。『少女→惑星探査』も、宇宙をさすらって星々をめぐるストーリーなんてそのものですし。

あとは、ちょっと前に友達に言われて気づいたんですが、高橋留美子先生の影響も結構受けているかもしれません。「ガールズ」だと、突然女の子がやってきて、男の方はどうしようもなくてという、『うる星やつら』のフォーマットですよね。

──『新婚のいろはさん』などの4コママンガを描く上で、参考になった作品はありますか?

ÖYSTERキャラクターの強烈さという点では、長谷川町子先生の『いじわるばあさん』。いじわるなだけじゃなくて、だからこそ孤独だったりと、キャラクターの幅が広いんです。『ど先端ナース』のとがりさんも、いじわるばあさんをモデルに描いていました。

また、実は僕はわりと和田ラヂヲ先生フォロワーでもあって、根本的な作風はそこから来ています。「ヤングジャンプ」でデビューしたときも目撃していて、こんなマンガがあるのかと衝撃を受けました。

それと同時に、自分にはあの作風だけで生き続けるのは大変だろうな……とも。「いろはさん」のような普通のマンガもそれはそれでいいんですが、完全にとがった道を突き進んでいるところが、僕にはちょっと無理だなと思いつつも憧れています。

──様々な方の影響があった上で、ÖYSTER先生の独自の世界観が作られていったわけですね。

ÖYSTER:あ、もちろん、一番ダイレクトに影響を受けているのは吉崎観音先生です。キャラクターの作り方とか、お話の組み立て方とか、最低限の手数でそれらしい背景を描く方法とか。僕のマンガのテクニックは、ほぼあの人から学んだようなところがあるので。

「ケロロ」の背景を描いているときも、仕事場で吉崎先生がちょろちょろっとタメになることを言うんですよ。それがすごく勉強になっていますね。

今さらだけど、ペンネームの「点々」を取りたい

──「ÖYSTER」というペンネームの由来をお聞きしていいでしょうか?

ÖYSTER:深く考えてつけたわけではないんですが、アメリカのロックバンド「Blue Öyster Cult」から取りました。

オカルトやSFチックの曲をたくさん歌っていて、『E.T.I.』 (Extra Terrestrial Intelligence:地球外知的生命体)という、『少女→惑星探査』のテーマずばりな曲もあったり。あのバンドの曲からイメージを湧かした話も多いです。

──なるほど。だから「Ö」に点々がついているんですね。

ÖYSTER:今さらながら、この「点々」取りたいなと思ってるんですよね。すぐに変換できなくて、みなさんにも無駄に手間をかけさせてしまっていますし……。どうしましょう?

担当編集:いや、もうどうしようもないでしょ(笑)。実は2004年に『男爵校長』を始めるときも、「ペンネーム変えていいですか?」と先生に言われたんですよ。軽くいなしちゃったんですが、あのとき変えてもらっておけばよかったですね。

「点々」がなかったら、ÖYSTER先生の自画像も変わっていたかもしれない。

──マンガ家としての、今後の目標があれば教えていただけますか?

ÖYSTER:将来どうしようというビジョンはあまり見えていないので、まずは目の前の仕事をひとつひとつですね。特に、このところ2巻で終わるマンガが多かったので(『ど先端ナース』、『シネマちっくキネ子さん』)、「いろはさん」も「ガールズ」もしっかり続けていきたいです。

あとは今さらですが、そろそろ「ÖYSTERのマンガの土台」というものを築かないといけない段階に来ているのかなと。これまでは、その場の感覚で好き勝手に描いてしまっていたので、地に足がついたものを作っていけたらと思っています。

──本日はお忙しいところありがとうございました。最後に、『新婚のいろはさん』『超可動ガールズ』それぞれについて一言ずつお願いいたします。

ÖYSTER:『新婚のいろはさん』は、僕自身も心を入れ替えて(笑)多くの方に読んでもらうために丁寧に考えて描いているつもりです。過去作品ほどの強烈な印象はないかもしれませんが、静かに楽しんでもらえたらと思っています。

そのぶん『超可動ガールズ』は相変わらずというか、趣味全開で、僕のオタク気質な面をふんだんに取り入れて描いています。マニアックなネタがお好きな方は、「ガールズ」のほうで楽しんでいただけるとうれしいです。

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