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2018.09.04

【日替わりレビュー:火曜日】『姉なるもの』飯田ぽち。

『姉なるもの』

先週は『ラヴクラフト傑作集」』でしたので、今度はクトゥルフ神話から派生した物語を一つご紹介。

幸の薄い少年・はある日、“千の仔孕む森の黒山羊”と呼ばれる「それ」に出会った。夕は自分の姉になることを願う。すると「それ」は「千夜」と名を変えて、彼の姉になって同居することに。姉と過ごすひと夏の日々を綴る。

禍々しい悪魔に向かって「お姉ちゃんになって一緒に暮らしてほしい」と願う夕くん、内気なのに度胸あるね! いやまあ、それほどまでに家族を欲していた、切ない少年なんですよ。

人間の女性?化した千夜は、お淑やかな美女。黒髪ロングで巨乳という外見もあいまって、まさに姉オブ姉! 存分に夕を甘やかせてくれます。膝枕して耳掃除してくれたり、黒髪が触手になって全身を洗ってくれたり、夕くんも思わず蕩け顔になってしまうほど。

千夜姉さんも「夕くん好き好き」モードになると瞳の中にハートマークが映り込むことも。18禁マンガのアイコンをたびたび使用する官能表現が、読み手の情感を刺激します。
ラブラブな姉弟関係も回を重ねるごとにだんだんと進展、3巻では千夜が初めて八つ当たりします。人間ドラマもキッチリ描写しているのも○。

この上さらに、クトゥルフネタも乗っかります。千夜姉さんが落描きしただけで、その絵から軟体生物がヒョッコリと蠢き出して「窓に…窓に!」と怪奇現象が巻き起こります。千夜姉さんの黒髪が地面一体に這いより、生けとし生けるモノを飲み込む、暗黒の底なし沼に変化する恐怖。

おねショタで油断していると、こういうホラー描写がガッツリ入って正気を失いそうになりますね。アイスとカレーを代わりばんこに食べているような、甘さと辛さが交互にやってくる感触が心地よい。

夕のモノローグが、昔を懐かしみながら過去形で語られている体になっているのも、ノスタルジーを強く感じさせます。ひまわりの花に囲まれたワンピースの少女、縁側で食べるスイカ、どしゃ降りの通り雨、蝉の音、夏草の匂い。

『姉なるもの』を読み終えると、いつも子供の頃に親の田舎で過ごした夏休みを思い出して、遠い記憶に重ねてしまうのです。

試し読みはコチラ!

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かーずSP

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