2018.10.09
【日替わりレビュー:火曜日】『終末のワルキューレ』アジチカ,梅村真也,フクイタクミ
『終末のワルキューレ』
過去の武芸者が死に際から蘇り、死闘を繰り広げる山田風太郎の『魔界転生』。古今東西の英雄による夢のベストバウトは、今なおバトルマンガに大きな影響を与えています。
以前に紹介した『Fate/Apocrypha』をはじめとする『Fate』シリーズしかり。織田信長からジャンヌ・ダルクら英傑が敵味方に分かれて戦争する『ドリフターズ』しかり。『刃牙』でも恐竜と喧嘩してたピクルとか、宮本武蔵が復活してましたよね。
『終末のワルキューレ』も同ジャンル。本作の特徴は、北欧の神々vs世界の偉人というロマン溢れる舞台装置。他作品とは一味違う魅力になっています。
神々の集うヴァルハラにて、人類滅ぼすべしという採択が可決されようとしていた。人類に肩入れするワルキューレの長女・ブリュンヒルデは、神と人類による一対一の勝負「神VS人類最終闘争(ラグナロク)」を提唱、人類最強の13人を選出する。一回戦は「北欧神話最強」トール神VS「三国志最強」呂布奉先!
大風呂敷を広げまくっている冒頭から、ワクワクが止まりません。トールvs呂布って、一回戦からクライマックス!? こんな夢のドリームマッチを序盤に持ってきてしまっていいんでしょうか。両者とも我々は、様々な創作物でその最強ぶりは思い知っています。
コーエーの『三国志』シリーズで常に武力100の呂布(『三國志VII』だけは98)。同社のアクションゲーム『三國無双』の虎牢関の戦いでは、呂布一人に戦況をひっくり返されて何度もジ・エンドになりました……。
トール神のイメージとしては、マーベルの『マイティ・ソー』が有名です。あと『小林さんちのメイドラゴン』のおっぱいメイドラゴンのトールさんも、戦うとめちゃくちゃ強いですよ。
余談はさておき、1巻から早速、トールvs呂布の異種タイマン勝負がはじまります。一撃必殺の「闘神の雷槌」(トールハンマー)が炸裂するド迫力シーン。それを受け切る呂布の底知れぬ不気味な強さも、生唾を飲み込む緊張感を読者に与えてくれます。
荒々しく描かれる壮絶な戦闘、その圧倒的な画力には目を見張ります。展開もサクサク進んでヤキモキさせないのも○。2回戦は「全知全能の神」ゼウスVS「原初人類」アダムというぶっ飛んだカードも。続きが気になってしょうがない、傑作バトルマンガです。
©アジチカ,梅村真也,フクイタクミ/徳間書店