2018.10.15
【日替わりレビュー:月曜日】『男爵ジャニスの怪しいお仕事』佐崎いま+高瀬ろく
『男爵ジャニスの怪しいお仕事』
舞台はアンドロイドの製造・所有が国際法で禁じられて20年後の世界。
祖父から相続した借金と屋敷と、精巧な作りのアンドロイド執事とを抱えて暮らす、落ちぶれ男爵のジャニスは、幼いころから自分を育ててくれたアンドロイドのルーに恋しています。そう、今回のカップリングは、心を持たないはずのアンドロイドです。
禁断のアンドロイド執事×淫乱一途な貧乏貴族
という要素多めの組み合わせとなっております
莫大な借金はアンドロイド執事を維持管理するためのもの。大事な執事・ルーを失わないために、ジャニスは日々怪しげで危ない仕事に手を出してはルーに心配されています。ちなみにその怪しい仕事でへまをすると、ルーがすごい戦闘能力で助けに来てくれます、まさに万能執事です。
ジャニスは自分がルーと結ばれるはずがないと思い込んでいるため、気を紛らわせるためにいつも複数の男との関係を楽しんでいます。ジャニスはルーへの恋心を自覚していますが、ルーは機械なので主人の恋への自覚はあるようでないような微妙なラインです。ただ、明らかに遊んで屋敷に帰ってきたジャニスを見て、その相手に嫉妬しています。嫉妬するアンドロイド。もはやただのAIではないですね。
「好きだ」と告白されて「じゃあしますか」とノータイムで返してしまうあたり、あいまい語のやり取りが可能な高等知能はあっても情緒はない模様。この即物的な感じ、とても好きです。
ジャニスはルーが好きですが、相手はアンドロイドなので自分の気持ちに未来はないと思っています。ルーは、アンドロイドが恋などするはずがないと、自分のあるかどうかもわからない心にブレーキをかけています。この、両想いのはずなのになかなか心が通じ合わないもどかしさが見所のひとつです。いわゆる両片思いパターンです。
ベースはギャグテイストなのですが、要所要所がしっかりシリアスでそのギャップもいい感じのアクセントになっております。
そして、怪しい仕事絡みでマフィアにさらわれたジャニスを助けた、その後日談が描き下ろしになっています。雑誌派の皆さん! やっと両想いになった二人の大事な肌色シーンが収録されておりますので、ぜひコミックスもどうぞ♪