2019.01.11

【日替わりレビュー:金曜日】『おとなりコンプレックス』野々村朔

『おとなりコンプレックス』

幼馴染ものは数多くありますが、最近はこんな変わり種のラブコメも登場しています。

それが『おとなりコンプレックス』1。12月に久々の第3巻が発売されました。

お隣どうしの家で、仲良く育った同い年の幼馴染、あきら真琴。……と、ここまではよくある設定なのですが、ちょっと変わっているのは、二人のその見た目

あきら(♀)は、高身長のボーイッシュ女子で、ぱっと見は完全にイケメン男子。化粧っ気もなく、服装も男子っぽいので、男子に間違えられることはしょっちゅう。高校時代は、バレンタインに後輩の女子たちから数多くのチョコレートをもらっていました。

それに対して真琴(♂)は、女装が武器の美少女系男子。彼自身が好んで女装をしているというわけではなく、姉の趣味。化粧映えして女性モノの服が似合うスラッと体型であるため、暇さえあれば姉の手ほどきで女子に変身させられいます。その美貌はなかなかのもので、男と気づかず言い寄る男性もチラホラ。けれども当人にはそんな気は一切なく、中身(性格)は完全に男です。

そんな、イケメン女子と美少女男子という組み合わせ。ルックスこそ男女逆ではあるものの、その様子はいかにもお似合いのカップルといった感じ。外を一緒に歩いていても、よく恋人同士だと間違えられます。しかし当人たちは、昔から兄弟のように育ってきたため、それ以上の雰囲気にはなりません。

そんな中、二人とも花の大学生になり、段々と今までのようにはいられなくなってきます。合コンへのお誘いや、真琴へ恋する女の子の登場、あきらへちょっかいを出してくる男の子の登場……。それまで男女として意識することのなかった二人が、周囲の変化に呼応するように、相手をぎこちなく意識しはじめ、「仲の良い幼馴染」から「恋愛対象」へと、その関係性を徐々に変化させていきます。

真琴は前からあきらを意識していたので、戸惑いみたいなものはないのですが、「ライバル不在だろ」と高をくくっていたところに、思わぬライバルが現れて焦るわけですよ。あきらはどちらかというと愚直に自分の気持ちに向き合って、一歩一歩踏み込んで行くので安心して見ていられるのですが、真琴はなまじ経験がある分、変に空回ったり慌てたりするんですよね。リサーチのために仕方なく女装したら、思わぬトラブルに巻き込まれたりするエピソードとか、結構笑えます。

近くにいるからこそ、それ以上に近づくことができない、親友以上、恋愛未満でオンリーワンな幼馴染の恋物語を、微笑ましく見守りましょう!

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いづき

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