2019.02.18

【日替わりレビュー:月曜日】『恋が、あの夏にある』牧コチコ

『恋が、あの夏にある』

「生まれ変わっても、君が好き」

はい、幼馴染を飛び越えて輪廻転生ラブでございます。

攻さんは、時空の歪みかなにかで50年前に病弱だった青年に出会って恋をします。その青年は、亡くなったあと攻さんの家の近所に転生して、前世の記憶を持ったまま恋した男の幼馴染として側で成長していきます。

ひと夏の思い出になるはずだったお隣さんとの出会いが、輪廻転生によって前世からの恋を成就させるという壮大な恋物語になるのです。

のんびりした温厚な性格の涼太と、涼太が夏に出会った病弱な青年・千鶴と、千鶴が輪廻転生した一生。時間軸が歪んで交わった3人の気持ちが、捻じれて絡まります。そもそも三角関係というのはややこしいものですが、今回の場合、そのうちの一人はすでに鬼籍に入っていて、もうひとりはその本人の生まれ変わりという≒な感じの存在なのでさらにややこしいです。

なにしろライバルは前世の自分。戦おうにも相手は自分と涼太の記憶にしかいない人間です。

涼太が、一生を見て「千鶴もそんな風に笑った」とか「照れると左側に目が泳ぐ」とか、悪気なくふたりを並べます。共通点を指摘される度に、もう戻れない過去の自分と比べられるのが、一生はどんどん辛くなっていくんですね。

あの時の千鶴が、生まれ変わって一生になったと涼太に受け入れられてから1年。新しく涼太と一生の恋が始められるはずだったのに、過去の自分にこんなに苦しめられることに、一生はどうしていいのか分からなくなってしまいます。

この、同時に存在できなかった3人の三角関係が昇華されて、涼太と千鶴と一生がちゃんと全部飲みこんで、前を向いてこれからの関係を進めていけるようになるまでが描かれているお話なんですが、本当にキュンキュンするし、千鶴も一生も涼太のことが好きすぎて可愛すぎるし、千鶴はもうにどと涼太には会えないと思うと生まれ変わったとわかっていても切ないしで、たまらない1冊となっております。

運命の恋とか、せつない恋とかにトキメキを覚える方には本当にお勧めの作品です。甘酸っぱくて爽やかな萌えが約束された物語でした!

この記事を書いた人

アキミ

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