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2019.03.21

売れないミステリー作家と助手の、温もりいっぱいごはん日記!『日々まめまめとむしやしない』 魚田南【おすすめ漫画】

『日々まめまめとむしやしない』

食を通して、自分の道を知る。

書店を歩きながら、「引きこもり作家と押しかけ助手」「ごはん日記」という言葉に惹かれて、『日々まめまめとむしやしない』を手に取った。勝手に「売れてる気難しい作家の飯事情」みたいな物語をイメージしていたから、読み始めてその予想を裏切られた。

出てくる作家は売れないミステリー作家。彼が引きこもりなのは、仕事に追われているから、というよりも、単なる人嫌いからだった。

そんな売れない作家・春野まどかのもとに、ある日ひとりの学生・伊藤が訪れる。彼は古書巡りをしていたときにたまたま春野が描いた食のエッセイに惚れ込み彼の家まで押しかける。そして、給料は後払いでいいから助手として働かせてくれ、と彼に志願するのだ。

料理初心者の伊藤が作る料理は、どれもシンプルで素朴なものだ。白菜と豚肉を鍋にして、いろんな調味料で楽しむ、など。京都が舞台ならではのおばんざいなどは出てくるものの、グルメ漫画というほどの描かれ方はしない。むしろ、その食べ物を通じて、春野と伊藤がどこへ向かっていくのか、そこに物語の味わいがある。

春野がここまでの人嫌いになってしまった理由、ミステリー作家なのに食のエッセイばかりがくるジレンマ、助手として力不足を感じ始める春野、一緒に食事を共にする日々の中で、ふたりは進むべき道を見つけていく。

一巻完結なのがもったいないくらい、個性的で魅力的なキャラクターが何人も登場する。誰かのために生きる喜びを感じる一冊。

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