2019.04.30

【インタビュー】『マチ姉さんの妄想アワー』安堂友子「制約があるからこそ4コマは面白い」

全国の4コマファンが、このときをどれだけ待ち望んでいたか……! 安堂友子先生の『マチ姉さんの妄想アワー』上下巻が、4月12日より各電子書籍ストアで配信されています。


『マチ姉さんの妄想アワー』上巻書影

「鶴の恩返し」「かちかち山」といったおとぎ話が独自の視点でパロディ化されており、読者はもちろん、同業者である他の4コマ作家からの評価も高い本作。その面白さの正体を探るべく、コミスペ!は作者の安堂先生にインタビューを申し込みました。

安堂先生が考える4コママンガの魅力、『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』とタイトルを変えて他社からぶんか社に移籍した経緯など、4コマファン必見の内容となっています。記事最後のプレゼント情報もお見逃しなく!

(取材・文:ましろ/編集:八木光平

単行本がぶんか社から発売された経緯

──今日は安堂先生にお話を伺いに来たのですが、まずこれを言わせてください。ぶんか社さん、よくぞ『マチ姉さんの妄想アワー』の単行本を出してくれました!

安堂友子先生(以下、安堂):私も本当に感謝しています。拾っていただきありがとうございました(笑)

担当:いやいや(笑)。むしろこちらこそ、弊社から「マチ姉さん」の単行本を発売できてうれしいです。私も編集者としてはもちろん、一読者として安堂先生の作品が大好きなので。

──「マチ姉さん」は、もともと他社の雑誌で連載されていた作品です。どういった経緯でぶんか社から単行本を出すことになったのでしょうか。

安堂:大した理由ではないんですけど。普通に連載が終わって単行本も出ないということだったので、以前からお付き合いがあったぶんか社の担当さんに「出しませんか?」とお願いしてみただけでして。

安堂友子先生

ダメならまた別の出版社に持ち込んだり、個人でネットに公開しようと思っていました。先ほども言いましたが、快くOKしていただけて本当に感謝しています。

──ぶんか社からオファーがあったのではなく、安堂先生から売り込んだんですね。

安堂:はい。数年前にも、エッセイマンガ(『日本文学(墓)全集 時どきスイーツ』)の単行本をぶんか社から出してもらったことがあったんです。だから、今回もどうですかね……? と。

──「マチ姉さん」の電子書籍の配信開始が今年4月になったのには何か理由が?

担当:トラブルなどがあったわけではなく、単純に作業量の都合です。何せ5年分の原稿がある上に、セリフも電子書籍用にすべて打ち直さないといけなかったので……。

安堂:ただでさえ「マチ姉さん」は、私の他の作品と比べてもセリフが倍近くあるから、余計に大変だったと思います。お手数をおかけしました。


2013年~2018年の5年間連載されていた『マチ姉さんの妄想アワー』

動物系の昔話はネタが出やすい

──「マチ姉さん」という、「おとぎ話のパロディ4コマ」を描く発想はどこから生まれたのでしょうか。

安堂:他社時代に新連載の準備をするにあたって、何本か出した案の中のひとつがおとぎ話のパロディ4コマでした。ちょうど第1話の半分くらいまでの話なんですけど、当時の担当さんに「これが一番面白い」と言われて、これでいきましょうと。

ただ、完全なオムニバス形式よりはレギュラーキャラもいたほうがいいとアドバイスをもらったので、語り手となるマチ姉さんを追加したという流れになります。


だいたいマチ姉さんのせい。

──おとぎ話の変なところにツッコミを入れたりは、昔からよくされていたんですか?

安堂:そういうわけでもないんです。当時はあくまでも、何本かある候補案のひとつでしかなくて。でも、おとぎ話のパロディネタはその時点で結構ストックが溜まっていたので、連載してもネタ切れしにくそうだとは思っていました。


定番のツッコミにさらにツッコミを入れるパターンも

──単行本の発売と平行して、連載も他社からぶんか社の「主任がゆく!スペシャル」に移籍しています。その際、タイトルが『マチ姉さんの妄想アワー』から『マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー』に変わっていますが。

安堂:少しややこしいのですが、個人的には「移籍」とは思っていないんです。他社での連載が完全に終わったあと、同じ題材でぶんか社でも描かせてもらえることになったというだけでして。

担当『マチ姉さんの妄想アワー』は他社さんでつけたタイトルなので、うちで連載するなら違うタイトルにしましょうと安堂先生にはお話しさせていただきました。

──なるほど。ちなみに、タイトル以外で変えたこともあれば教えてください。

安堂:他社時代は1話の中に色々な昔話が混ざっていたのを、ぶんか社版ではひとつのテーマに絞るようにしています。今月号は全部「かちかち山」のネタ、みたいな。

──安堂先生としては、昔の形式と今の形式どちらが描きやすいのでしょうか。

安堂:どちらかといえば、昔の描き方のほうが楽でしたね。今月号(4/22発売のvol.134)も、最初は「シンデレラ」縛りで考えてたんですけど、途中でネタにつまって数がそろわなくて急遽「浦島太郎」に変えました。

──一番ネタが出やすいのは、どの昔話ですか?

安堂:「ウサギとカメ」や「かちかち山」など、動物系のお話は結構出やすいですね。特に「鶴の恩返し」は色々なパターンのネタが思いつくので、たぶん自分に一番向いているのかなと。「鶴の恩返し」の回はぶんか社でもすでにやってしまっているから、しばらく描けないのが残念です。

読者人気も高い「鶴の恩返し」ネタ

──「主任がゆく!スペシャル」の雑誌カラーにあわせて、ネタの内容を変えたりはしているのでしょうか。「主任」は他社の4コマ誌と比べて、アダルトな作風のマンガが多い気がしますが。

安堂:それは特にないですね、今まで通り描かせてもらっています。でも、ぶんか社で最初に載せてもらったのは「主任」じゃなく実話系の雑誌で、そのときは場違い感がすごくて載っていいのか不安でしたけど。

担当「本当にあった笑える話Pinky」ですね。掲載枠が空いていたため、安堂先生が心変わりしないうちに描いてもらおうと、雑誌カラーにあわないのは承知の上で打診させていただきました。

「本当にあった笑える話Pinky」最新号 書影

安堂:ただこのゲスト回の際のマチ姉さんは今ともまた少し設定が違って、髪をおろしていたり副主人公にあたる弟が出てこないといったイレギュラーバージョンでした。連載再開にあたって以前のスタイルに戻しましたが、そういう実験もできたのは良かったです。

──読者からの反応の中で、特に印象に残っているものはありますか?

安堂:連載の宣伝にとTwitterにマチ姉さんの4コマを上げていたのですが、読者さんから直接「カチカチ山が面白かった」というリプをいただいて、試しに載せたところ、たまたまプチバズりすることができて。

大勢にフォローしていただけるきっかけになりました。嬉しかったです。カチカチ山のあのネタは自分でも好きでしたが、正直予想外でした。

──「マチ姉さん」はTwitterでも本当によく読まれていますし、スマホでマンガを読む今の時代との相性がいいのかもしれません。時代が安堂先生に追いついたというか。

安堂:普段あまり4コマを読まない方にも、「マチ姉さん」面白いですと言っていただいたことがありました。本当にありがたいです。

担当安堂先生のファンに熱烈な方が多いことは、編集部としても実感しますね。「マチ姉さん」のために「主任」の購読を始めてくださったり、今回の単行本を読むために初めて電子書籍を買ったという方も結構いるみたいで。そういう人たちも突き動かす力が安堂先生のマンガにはあるんだと思います。

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