2019.05.08

【インタビュー】『ロロッロ!』『僕の心のヤバイやつ』桜井のりお「私はずっと挑み続ける!(下ネタも)」

弱点がないと、キャラクターは好まれない

──『ロロッロ!』は逆に、現実にはいないタイプを桜井先生のギャグ精神で振り回している感じがします。

桜井:『ロロッロ!』は「こんなヤツいてほしくない」ってくらい極端です(笑)。傍で見ている分には面白いけど、身近にいると困る感じで描いてます。

『ロロッロ!』の個性的な面々

──全員、愛すべきダメな部分があって親しみが湧いてきます。

桜井:ダメなところっていうか弱点がないと、キャラクターはあまり好まれないだろうと思うんです。それに完璧なキャラが私には想像できなくて、最初はトミー先輩も完璧なイケメンキャラとして登場したんですが、結局脱いじゃいますし(笑)。

完璧イケメンのはずだったトミー先輩

──脱ぐといえば高嶺会長です。彼女が卒業して寂しくなるかと思いきや、中高一貫でホッとしました。

桜井:『ロロッロ!』はとにかく優しい世界で、お別れとかは描きたくなくて、悲しいことが起こらないように心がけています嫌なヤツを登場させないのも同じ理由です。悪役はいいんですけど、イヤなことを言ったり、したりする人を出さない。それはすべての作品で共通しています。

ポンコツ痴女の高嶺会長

──ご自身の経験が作中に活かされているところはありますか?

桜井:私も中学の時に美術部だったんですけど、美術部あるあるとして、腐女子がいっぱいいました(笑)。文化祭の時に看板を描くエピソードも、それぞれの部員がデザインを描いてコンペするのも実話です。3年生の時に私の絵がそのコンペで選ばれて、そこが人生のピークでした……。

全員:いやいやいや!

先生が過去にも経験したという、デザインコンペのエピソード

──『ロロッロ!』の天才博士に作られたロボットという題材は、どこからきているのでしょうか?

桜井:昔から『Dr.スランプ』が大好きだったので、ああいう荒唐無稽なギャグを描きたいとは思ってました。ロボットといえば私の中ではアラレちゃんなので、ああいう感じの雰囲気、世界観が出せたらなって。

──博士をカッコよくしないで、則巻博士っぽい三枚目キャラにさせているのも。

桜井:そうですね。あとは何だろう……不審な大人が好きなので。

ちとせの父であり、イチカを作った森繁博士

──『みつどもえ』から続く、お父さん不審者ネタが鉄板ですごく笑えます。

桜井:私にとって、どういうのがカッコいい大人の男なのか分からないですし、興味もないんです。

──ずんぐりむっくりした方が描きやすいとか。

桜井:女の子たちとの対比を気にして、そういうおじさんを描きがちなんです。とにかく女の子を引き立たせるために、ちょっと気味の悪いおじさんを描きたいっていう気持ちが強いのかも。

──美人の先生を電気あんまで攻めてる回もすごく笑ったんですが、ああいうシーンの作画でテンションが上がったり?

桜井:上がります。だんぜんガチムチの体型のほうが描いていて楽しいですね。

──エロネタ以外で、『みつどもえ』でできなかったことを解禁した部分はありますか?

桜井林田さんとか、ギャグじゃなく真面目に恋する展開は、『みつどもえ』では深く描いてなかった部分ですね。

恋する林田さん

その他、『みつどもえ』はループしている世界ですけど、『ロロッロ!』ではちゃんと進級していきます。時間が流れている違いはありますね。キャラクターの見た目が変わったりとか、ちとせたちが2年生になってどう変化するかを、これからも楽しみにしてほしいです。

──イチカのスペアボディの猫が手抜き感があって好きです。ちとせの絵もそうなんですけど、世界観の端々に漂うキモカワな要素が癖になります。

桜井:ありがとうございます。素直な可愛いキャラを描けなくて、昔からマスコットキャラ的なデザインがうまく描けないんですよね……(笑)。

『ロロッロ!』の登場人物は、自分の性格の一面を当てはめている

──『ロロッロ!』のキャラクター作りで意識している点はありますか?

桜井:まんべんなく、私の性格の一面をキャラクターに当てはめている感じです。

担当編集B:先生にはイチカのような天真爛漫なところもありつつ、ちとせの一人ぼっちで友達が欲しいって部分も当てはまると思います。ポリスの変態的な猫好きも、猫に対してすごい執着心が強い桜井先生らしいなと。

変態的なまでに猫好きなポリス

桜井:イチカの褒められると嬉しくなって調子に乗っちゃうのも私っぽいですし、戌井うみこだったら承認欲求が強いところとか(笑)。

承認欲求の強い、戌井うみこ

担当編集B:『ロロッロ!』は桜井先生自身のいろいろな要素を各キャラクターに付与して、そのキャラクターたちが「変態」という軸の中で物語を回していくのが楽しい作品になっています。

といっても変態なだけじゃなくて、ほんわかした友情もありますし、「こんな学校生活だったら楽しいんじゃないかな」っていう、桜井先生の理想を詰め込んでる作品だと感じます。

「恋愛」に関して綺麗に描きすぎず、汚れた部分も見せる

──『僕ヤバ』の市川京太郎についてはいかがですか?

桜井:『僕ヤバ』では京太郎が一番自分に近いキャラなので、「こんなことあったらいいな」「こういう状況になったら私だったらこうする」っていう思いを反映させながら描いてます。今まで男性キャラをメインで描いてこなかったので若干の不安はありましたが、それだけに共感してくださる読者の方が多くて嬉しいです。

担当編集A:最初は「中二感が強すぎる」って声もありましたが、回を重ねる毎に応援する読者さんが増えています。桜井先生は正に少年誌の作家さんなので、共感を得られる主人公の描き方が上手なのかなって思います。

中二感の主人公、市川京太郎

──山田杏奈はどういったイメージから生まれたのでしょうか?

桜井:私は「モーニング娘。」の亀井絵里ちゃんが現存するアイドルで一番好きなんです。めちゃくちゃ可愛いし、ステージではカッコいい。でも私生活ではちょっと抜けている感じが大好きなんです。そんな自分の好きなアイドルの天真爛漫さや、抜けている部分なんかを山田に反映させています。

──雑誌に載っている山田のグラビアと、学校で京太郎が目撃する山田のギャップの感じですね。

モデルの時と、学校の時でのギャップ

桜井:あと「この人はこういう人」っていう風に一言で当てはめられない、掴めない感じというか。

──京太郎から見ると、山田は「何考えてんだ」って、思考が読めない感じがします。

桜井:何を考えてるのか分からないけど、分かりやすいときもあって、よく分からない魅力がある。猫ってそういう感じですよね。猫から呼ばれて、「何?」って近づいていっても、特に用事がない。ああいう、よく分からない感じです。

──そんな山田に京太郎が恋してることを自覚する14話。抽象的な感情を表現することに難しさはありますか。

桜井:人が好きになるのと、好きだということを自覚するのって、タイミングが違うんですよね。その面白さを細かく描きたいって思っていました。

ある出来事から山田への思いを自覚する京太郎

中学生の初恋特有の感情だと思うんですけど、「どこからが好きなんだろう」って距離感が全然分からない。相手の子をいつ好きになったのか、好きじゃなくて違う感情なのか。心の葛藤が起こる、曖昧な感情が面白いんです。

──『ロロっロ!』の下ネタと比較すると、『僕ヤバ』では男子の自慰ネタが描かれていたり、生々しさは強めですよね。

桜井:とにかく中学生男子を描くなら、やっぱりそこは避けて通れないと思ってます。「恋愛」に関して綺麗に描きすぎるのは『僕ヤバ』ではよくないから、男子中学生が美少女を見たら、性的な目でも見ちゃうよねって、ある種の汚れた部分も出していこうと。

なるほど なるほど……それは それでさぁ!!!

──中学生男子の心を見事につかんでらっしゃるのがすごいです。

桜井:私は中学・高校のとき、異性や可愛い女の子とまったく関わりがなかったんです。その頃に、可愛い女の子が近くにいたら「私ってどうなっちゃうんだろう」って感情の高ぶりを妄想したり。思春期の男子だったら、たぶん好きになる前にエッチな目で見ちゃうだろうなって想像したりして。

──もうひとり、原さんもエッチな目で見られちゃう女子ですね。

担当編集A:「クラスのちょっとぽっちゃりした女の子ってエロいよね」って感情が私もありましたし、中学時代の時に皆さんもあったと思うんです。

そこがリアルに描かれている、原さんが初登場する3話目がTwitterですごい反響でした。もともと「週刊チャンピオン」の読者層も、ちょっとぽっちゃりな子が好きな傾向があるんですけども。

お前……スケベだな……

──そんな読者傾向があるんですか(笑)。

桜井ママキャラが人気出たりするんですよねぇ。

担当編集A:原さんは、文化祭の準備のときの体操着姿でお肉が乗ってる感じとかも、すごくうまく表現できているのが良かったのかなと。

体操着姿の原さん

桜井ぽっちゃりした中に、おっぱいを発見する瞬間ってありますよね。今まで「ただのぽっちゃりな子」って印象だったけど、ふとした瞬間に「あっ!」っておっぱいを見つけちゃう。

京太郎の頑張りが読者の共感を生む

──担当編集さんからみた、『僕ヤバ』の魅力はどこにありますか?

担当編集A:京太郎の中二病が痛くて、私も思い出したくない記憶が蘇ってきて、昔こんなことあったなーって(笑)。

でも私だったら動けないような場面でも、京太郎はしっかり動いてるんですよ。中学・高校時代に密かに好きだった子に何もできなかったけど、京太郎は違って、頑張ってちゃんと行動している。だから応援したくなるのかなって感じます。

──山田がチャラい先輩に言い寄られているとき、自転車を犠牲にして守っていましたね。

不器用だけど行動する京太郎

担当編集A:最初はそういう行動が実らないんですけど、ちょっとずつ周りに気づかれて、山田にも気づいてもらえるようになります。二人の距離が縮まっていく変化を桜井先生は丁寧に描いてるので、感情移入しやすいんじゃないかと思います。

──25話の秋田書店に職業見学に行く話で、京太郎が『バキ』の原稿を見たがっている気持ちを、山田が察しますよね。たぶん今までだったら気つかなかったところを山田が気づいてくれた、あそこに二人の関係の進展を感じました。

段々と変化する二人の関係

担当編集A:あの時の山田の表情は、彼女の人生の中で初めて出てきた顔なんじゃないかって、桜井先生と話してました。

この作品って、山田が普段何を考えてるのか分からないところがすごい魅力だと感じます。京太郎のことを好きなのか、ただの友達なのか、ただの気まぐれなのか。山田の本心が分からないので、読者の皆さんも振り回され、続きが気になってしまうのかなと。

子供の頃からギャグマンガばかり読んできた

──ここからは桜井のりお先生のパーソナリティについて伺っていきます。昔からギャグマンガはお好きだったんでしょうか?

桜井:はい、昔からギャグマンガばっかり読んでました。『クレヨンしんちゃん』とか『ちびまる子ちゃん』とか。あと『うめぼしの謎』っていう「ギャグ王」でやってたマンガを小さい頃に読んでいたり。

それで中学の時に『浦安鉄筋家族』を初めて読んだんですが、この作品には一番影響を受けたというか、大好きな漫画ですね。

それから『名探偵コナン』『ブラック・ジャック』楳図かずお先生の作品なども読んでました。あと山本ルンルン先生がすごい好きで、『マシュマロ通信』とか可愛らしいタッチで人間らしいキャラクターが好きでした。

──『僕ヤバ』のリアルな中学生男子を描くにあたって、何かそういった人物像を描いている作品がお好きだったことはありますか?

桜井:『ちびまる子ちゃん』のスピンオフ『永沢君』がすごく好きでした。冴えない男子中学生の日常を描いてるのがすごく面白かったんです。

──最近、オススメのマンガを教えてください。

桜井『やれたかも委員会』が好きですね。とにかく甘酸っぱくて、もうちょっとなのに! って感じがすごい好きです。実際にあった体験談の形で切なさを表現していて、間とかがすごくいいんですよ。

──『僕ヤバ』の感情の機微を描くところに共通点を感じます。

桜井:心の変化とか距離感とかを言葉で説明せず、コマ割りとか絵で表現してるのがグッときますよね。

──桜井のりお先生にとって漫画を描くこととは何でしょうか?

桜井:現実逃避っていうか、辛いことがあった時に漫画を描いててよかったなって実感します。

──最後に、告知をお願いします。

担当編集B:『ロロッロ!』の最新単行本の第4巻が5月8日に発売されました。これに併せて、フェアを実施します! 『あっぱれ! 浦安鉄筋家族』『外伝!浦安鉄筋家族 闘え!春巻』『あつまれ! ふしぎ研究部』と『ロロッロ!』の4作品。コラボサイン色紙や複製原画セットとかが当たりますので、ぜひ購入してコミックスの帯の詳細を見てください。

──『ロロッロ!』の4巻の見どころは?

担当編集B:4巻では、「おちんちん議論」と「林田先生のバレンタイン」、「ハロウィン」など盛りだくさんです。ギャルも出てきます! 描き下ろしの後書きも物凄くて、桜井先生は挑み続けてますよ!

──3巻の後書きの高嶺会長の着エロもよかったです。あばらがうっすらと浮き出ていてエロいなって。

桜井:会長は綺麗で身体を見せたがるけど、体は貧相だよっていうのを表現しました。そのギャップがいいんです。

──『僕ヤバ』についてはいかがでしょうか。

担当編集A:『僕ヤバ』も桜井先生にめちゃくちゃ頑張っていただいているので、次巻が予定より早く出ると思います。楽しみにしてください! 「マンガクロス」で連載中なので、こちらもお願いします!

──本日はありがとうございました!

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