2020.04.27
読んでいてほんわか温かい気持ちにさせてくれる、ほのぼの楽しい幼なじみBL!『初恋ロールバック』あずみ京平【おすすめ漫画】
『初恋ロールバック』
幼馴染同士の初恋がそのまま実る的な、ほのぼのと楽しめるBLです。
お金持ちの家に生まれた亨は、自分と対等に付き合ってくれるお幼馴染の和也をことのほか大切にしていました。家柄に媚びてくるような相手が多く、普通に友達として付き合える相手がとても貴重だったのです。
しかし、小学生の時、ちょっとした事件があって和也も結局、亨のバックにある家を優先してしまうんだと思い込んでしまい、遠ざけようとします。
和也はずっとストーカーのごとく亨のそばにいましたし、亨はそれを疎ましく思いながらも、いつの間にかいるのが当然と無意識に思い込んでいる始末です。亨は和也の付きまといをやめさせるために部活の先輩(男)の提案で付き合っているふりをしたりするのですが、付きまとわなくなっただけで和也のスタンスは変わらないようでした。
一方、自分から和也を突き放した亨は、不意に感じる喪失感のようなものに戸惑いを隠せません。
追いかけられていたはずが、こんどは追いかける側に回ります。ほほえましくも不毛な鬼ごっこと言わざるを得ないこの二人の関係。
とりあえずちゃんと口がついてるんだから! 落ち着いて!
しっかりと向かい合って! 話し合え!!!
以心伝心を期待するんじゃない! コミュニケーションを! とれ!!!!!!
君たちはいったい何をしているんだと突っ込むしかない、ほのぼのともどかしいこの恋に、コミュ力の重要性をひしひしと感じた次第です。お互いが相手のことを好きなんですから、そして取り返しのつかないような大事件など何も起こっていないのですから、顔を突き合わせて話し合えばそれで済んだんですよ。
それなのに彼らときたら、小学生から高校まで! そんな簡単なことができずに、相思相愛になるまでに単行本1冊を費やしてしまいました。
些細なことがきっかけで疎遠になりかけたものの、10年ほどでなんとかくっついたこのカップル。読んでいてほんわか温かい気持ちにさせてくれる、人畜無害なほのぼのさが素晴らしい萌本でした。
今後はしっかり話し合いながら関係を深めていっていただきたいと思います。
©あずみ京平/幻冬舎