2020.07.27
【インタビュー】『星屑テレパス』大熊らすこ「叶うわけないと諦めず、子どものころの夢を追いかけてみて」
少しずつ成長していくのが、海果らしい
──前作『ハッピーセピア』の主人公・かえでは活発な女の子でしたが、本作の海果を人見知りのキャラクターにしたのはどうしてですか?
大熊:『星屑テレパス』は「夢」がテーマになっている作品なので、一見すると大きな夢を持っているように見えない内気なキャラクターを主人公に据えようと考えていました。か弱くて守ってあげたくなるような女の子が、目標に向かってがんばっている姿が私も好きなので。
──あたふたしているところが小動物みたいでかわいくもありますが、序盤は特に、海果の人見知りぶりが明確に欠点として描かれているようにも見えました。
大熊:うまく言葉が出なかったりつっかえたりするのって、やっぱり本人にとってはすごくコンプレックスだと思うんです。なので課題は課題として描いたほうが、海果もちゃんと自分の上手くできない部分と向き合っていることが読者さんにも伝わるんじゃないかなと。
──最初は「ありがとう」も満足に言えなかった海果が、自分の夢を告白するシーンに成長を感じました。
大熊:もちろん人はすぐには変われませんけど、ゆっくりでも少しずつ前に進んでいくのが海果らしいなって私も思います。
──もうひとりの主人公ともいえるユウはどのように生まれましたか?
大熊:初期案のユウは、海果にやさしく手を差し伸べるような大人びたキャラクターでした。今のように元気な女の子になったのは、海果と正反対の性格にしたほうが読者さんの印象に残りやすいんじゃないかと担当さんにアドバイスしていただいてからです。
──落ち込んでいる海果を励ますシーンのユウは妙に大人っぽくて、その初期案の名残を感じます。
大熊:あのシーンのセリフはすごい悩みましたね……。宇宙人を自称するだけあって独特な感性の持ち主ですし、担当さんとも「ユウならこんな時どんな言葉を使うか?」と話し合って、絶妙にユウが言いそうなミステリアスな言い回しになったと思います。
──第4話でふたりの仲間になった遥乃は、先生から見てどんなキャラクターですか?
大熊:遥乃は、宇宙で一番懐の大きな女の子というイメージで描いています。瞬とのやりとりが特に顕著で、普通の人なら眉をひそめてしまうような行動でも遥乃なら笑って受け入れてくれそうというか。
──懐もそうですが、私服回の遥乃、大きかったですよね。どこがとは申しませんが……。
担当:強調するような格好でしたもんね。ニットの服で、バッグを斜めがけして……。
大熊:ふたりともひどい。
──やさしいキャラクター、やさしい世界観が『星屑テレパス』の魅力だと思っていたので、きつい性格の瞬が登場したときは少し驚きました。
大熊:瞬は敵というか、海果が乗り越えるべき壁として登場させたキャラクターです。遥乃もそうですが、第1話の時点で瞬のデザインはすでに考えていて、最終的に4人が集まって……という流れも決まっていました。
──その瞬も「大型ロボットを作る」という、海果と同じくらい大きな夢を持っていますね。
大熊:海果と瞬は、鏡のような関係性なんだと思います。何もかも正反対だけど本質は同じ。だからこそ海果は、苦手意識を持つ一方で瞬に憧れてもいて、中学時代からずっと友達になりたかったんだろうな、って。
──海果たちの仲間になってからの瞬は、性格がだいぶ丸くなった気がします。
大熊:たぶん、4人の中で一番常識人ですよね(笑)。作者としてもいてくれないと困るキャラクターです。
──自分に似ていると思うキャラクターはいますか?
大熊:どの子にもそれぞれ共感できる部分はありますけど、自分に近いキャラクターは極力作らないようにしています。感情移入しすぎてしまうと、私の考えに引っ張られてそのキャラクターの芯がぶれてしまう気がするので。
前作『ハッピーセピア』で得た経験が『星屑テレパス』に繋がっている
──ご自身とキャラクターは切り離して考えているとのことですが、大熊先生の描く作品はやさしさに満ちていて、読むと心があたたかくなるんです。それはやはり、先生の気質から来るものなのではないかと。
大熊:ありがとうございます。今の作風になったのは、初代担当さんのおかげでもあります。きららさんで描きたいと思っていた作品は結構ギャグ寄りだったんですけど、私の絵柄ならほのぼのした話のほうが向いてるんじゃないかとアドバイスされて。
『星屑テレパス』もそうですし、前作の『ハッピーセピア』でも、毎月なるべくほっこりする要素を入れるように心がけていました。自分の中で反省点も多い作品でしたが、初連載ということもあって思い入れは強いですね。
──『ハッピーセピア』の連載が終わったときは本当に残念でした。あと数話で単行本1巻ぶんのストックが溜まるタイミングでもあったので。
担当:『ハッピーセピア』に関しては、編集部内でも意見が割れていたんです。単行本を出してもいいんじゃないかと言う者もいれば、そこまで待たず次の作品に切り替えたほうがいいと言う者もいて。
検討を続けた結果、もうすぐ1巻が出せる直前で終了という判断になってしまい、大熊先生には申し訳ありませんでした……。
大熊:いえ、とんでもないです。そもそも連載を持てていること自体が信じられなかったですし、毎月の原稿を描きながら「来月には終わってしまうかもしれない」といつも思っていましたから。
──とはいえ、やはりショックも大きかったのではないかと。
大熊:たしかに、覚悟していたとはいえ「あと数話で終わりです」と告げられたときはガクッときましたね……。だけど、あの作品で描きたかったことは描ききれたので心残りはありません。
──描きたかったこととは?
大熊:『ハッピーセピア』は、恩人の後悔をなくすために過去にタイムトラベルする女の子の話なんですけど、目の前にいる人を尊重するばかりにその人の過去を否定するのは本当に正しいのか? というテーマもあったんです。ラストの数話は、かえでのある意味で独善的で残酷な行動を変えられたらいいなと思いながら描きました。
──『ハッピーセピア』で単行本が出せなかった悔しさが、『星屑テレパス』を描く原動力にもなっているのでしょうか。
大熊:「悔しさ」というよりは「反省」でしょうか。『ハッピーセピア』のときは、単行本を出せたらいいなと思いつつも、自分には無理だろうって心のどこかで最初から諦めてしまっていたんですよね。
その反省も踏まえて、『星屑テレパス』では絶対に単行本を出すぞと気持ちを入れ替え、1巻のラストから逆算して全体のプロットを考えていきました。『ハッピーセピア』で自分の中にある課題に気づけたからこそ、今回はここまで描き続けてこれたのかなと実感しています。
──7月27日には、いよいよ単行本1巻が発売されます。現在の心境をお聞かせください。
大熊:率直に言うと、緊張8割、嬉しさ2割です。ここまでくるのが長かっただけに嬉しさも当然ありますが、私の描いたものが1冊の本になって世の中に出回ってしまうことに緊張しています……。
──表紙のイラストも神秘的で、実物を手に取るのが今から楽しみです。
大熊:ありがとうございます。帯に描いている、おでこを出している海果の顔をそのまま表紙にする案もありました。デザイナーの伊藤ユキノブさんのお力も借りて、とてもいいデザインになったと思います。
担当:表紙の机を描くのが大変だったって先生ぼやいてましたよね。
大熊:それは言わないでください!(笑)
──最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
大熊:単行本1巻が出せるのは、連載を読んでくださっている方、前作からずっと応援してくださっている方のおかげだと思っています。本当にありがとうございます。
マンガ家としてはまだまだ未熟で、勉強しなければいけないこともたくさんありますが、これからもがんばっていきますので『星屑テレパス』という作品を応援していただけると嬉しいです!
──本日はありがとうございました!
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