2020.08.29

「怖カワイイ」独特の雰囲気がクセになる、ホラーコメディ仕立ての4コママンガ!『Creepy Cat 猫と私の奇妙な生活』コットンバレント【おすすめ漫画】

『Creepy Cat 猫と私の奇妙な生活』

本日紹介するのは「ツイ4」で配信中のこちら。

『グリッチ』『インキュバスくん』といった自主制作Webマンガでも注目を集めていたタイのイラストレーター、コットンバレント先生の作品で、日本で単行本が出るマンガとしてはデビュー作にあたる『Creepy Cat 猫と私の奇妙な生活』だ。

主人公・フローラは商業画家を目指すうら若き女性。彼女は親戚から譲り受けた古いお屋敷へ引っ越してひとり暮らし中なのだが、夜になると邸内に何者かの気配を感じていた。

ある晩、得体のしれぬ視線を不審がりつつベッドに入ると、なんだかずっしりした重みが身体の上に。ふと見れば、そこには白くてまんまるで赤黒い眼を光らせた生き物が!

いつからか屋敷に棲みついていたらしい、ふわふわもこもこなそいつ。たぶんネコだろう。とってもかわいい。それでいて底知れず不気味(クリーピー)でもある。

指でつつこうとしたら腕までズブズブと呑み込まれるほど柔らかい。目からビームを撃つ。飛びあがって天井にさかさまに立つ。口から分身を次々と吐き出して増殖する。巨大化する。

って、いやいや普通のネコではないなこれ!? 

かくして「ネコならざるもの」こと“クリーピーキャット”の生態に混乱しつつも、なんだかんだで愛着がわいて面倒を見るフローラの奇妙な生活が続いていく……。

というわけで、“怖(こわ)カワイイ”独特の雰囲気がクセになるホラーコメディ仕立ての4コママンガになっている。

特筆すべきはやはり、作者・コットンバレント氏の画風そのものだろう。薄暗く青白く恐ろしげで、それでいてすらりと軽やかに戯画化されたビジュアルが素晴らしい。『アダムス・ファミリー』のようなゴシック色のある洋物ホラー系カートゥーンがお好きな人には親和性が高い趣だ。

とりわけフローラさんの造形はいいツボをついてくる。すらりと細長い身体つきに黒髪ロング・黒服と色白な肌のコントラスト

静かな艶をたたえる彼女のデザインにはある種の風格があるが、その言動にはいい意味で凡庸な親しみやすさ──ご近所のお姉さん感とでも言おうか──があふれている。この容姿と性格の組み合わせが絶妙なのだ。いやあ、フローラさんかわいいなあ。

そうしたキャラクターの作りばえも含めて、本作は全体的に日常+怪異のハイブリッド具合が肝になっている。

上で述べたようにクリーピーキャットには超自然的なスペックが備わっているし、幽霊や吸血鬼やブギーマンといったオバケたちが忍び寄るエピソードもあるのだが、同時に本作には現実のネコを飼っている人にはあるあると微笑ましくなれるほのぼの日常マンガの側面もある。

飼い主がおろしたてのブラウスを着ていい気分になっていた矢先にくっついてきて大量の毛をなすりつける。
じっとこちらを見張っていたかと思えば、目を離した一瞬のスキをついて手元にあったおやつをくすねていく。
綺麗なお花をおみやげにくわえてもってきたかと思えば虫もいっしょに渡してきて飼い主に悲鳴をあげさせる。
パソコンで作業してる横でおとなしくしていたかと思えば、ほんのわずか席を離れた間にキーボードの上でガチャガチャ暴れる、などなど……。

どれもまるで実録エッセイマンガにでもありそうなシチュではないか。

それらが、“ネコのようでネコでない、でもやっぱりネコっぽい”というクリーピーキャットの立ち位置、虚実の境界に立つ存在感をきわだたせ、ホラーでもありコメディでもある作品全体をうまく支えているのである。

……いやあ、それにしてもフローラさんかわいいなあ(大事なことなので何度でも言う)。
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miyamo

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