2018.07.01
【日替わりレビュー:日曜日】『テラモリ』iko
『テラモリ』
今日はスーツを販売するテーラーを舞台に女子大生バイト・高宮と副店長・平尾の恋愛を描いたマンガ『テラモリ』をレビュー!
絵も綺麗で、激甘恋愛マンガと見せかけながら登場人物それぞれのドラマもしっかり描いている本作品は、ヒューマンドラマと言っても過言ではありません。更には、やたらマンガのテンポが良く、笑いどころもちょこちょこ仕込んできていて、コメディ要素も強いてんこ盛りマンガなのです。
ざっくりのストーリーは、アパレルになんて興味のなかった高宮(オタク女子)が、時給の良さに惹かれてテーラーでバイトをすることに。だけどそのバイト先にはドS副店長が……! 反発しながらもだんだん惹かれ合うふたりの仕事は、恋愛はどうなる!?
的な話なのですが、ヒロインである高宮のような女子大生にはなかなか接点のないテーラーでのお仕事の様子がみっっっっっっちり描かれていて、業界マンガとしての完成度も高いのです。話の中で「テーラー森」のスタッフのみなさんが専門用語もしっかり教えてくれるもんですから、0からでもうっかり詳しくなってしまうこと請け合い。高宮と同じくスーツの世界に足を踏み入れてしまうかもしれません……。
高宮も最初は仕事をちょっとなめてる(と言っても、学生時代のバイトに対するモチベーションは、全員が全員やりがいなわけではないですし、時給に惹かれた高宮の選択も間違いではないのですが)普通の女子大生だったのに、このバイトを通じて自分の就職活動ひいては将来についてしっかり考えていく成長っぷりが泣けます。ちなみに、髪型の進化もご注目。
そしてそんな姿は主人公のふたりだけではなく、『テラモリ』登場する他キャラクターにズームを当てた回が多いのも特徴です。
ひとりひとりにドラマがあるだなんてよく言いますけど本当にその通りで、正社員を目指す契約社員、仕事を愛するあまり空回りするスタッフ、バイトのままでいるか社員になるのかなどなど、まるで自分もテーラー森で働いている錯覚を起こすほど、「他の人の情報」を丁寧に紡いでいるのが面白い。売り上げに対する意識や、異動人事の理由などの部分も全てリアリティがあるのです。
現在既刊9巻。最新刊の副店長には、みなさんきゅんきゅんすること間違いなし。仕事も益々パワーアップ。たくさんの人の成長期、ぜひお楽しみください!
©iko/小学館