2018.09.03
【日替わりレビュー:月曜日】『エスケープジャーニー』おげれつたなか
『エスケープジャーニー』2〜3巻
1巻のレビューはコチラをどうぞ!
『エスケープジャーニー』は全3巻で完結しております!
1巻は高校時代の喧嘩別れからの復縁編で、2人の関係がどう変化していくかというところに焦点が合っておりました。後半の2冊では、うまく回り始めた男同士の2人を取り巻くまわりの人々との関係がメインになってきます。
ボーイズラブは、基本的に男同士の関係を描くジャンルです。
付き合うまでだったり、既に出来上がっているカップルの話だったりとどこを切り取るかは作品によって違いますが、メインの二人をクローズアップして関係性を丁寧に追っていくところは共通しています。
もちろん本作もこの例に漏れませんが、3巻まであるぶん、まわりの人たちと二人の関係がかなり丁寧に描かれています。
直人に片思いするトラウマ持ちの男しかり、大学の友人しかり、そして直人や太一の家族しかり。
男3人の三角関係になり、女友達に関係が露見したり、カミングアウトした家族に拒絶されたり、受け入れられたり……。
2人で好き合っているだけじゃすまない、「世間」というものが浮き彫りにされる後半2冊は、重くもあり辛くもあり、それゆえ作品世界がぐんと深みを増しています。
自分たちの関係が誰かを傷つけることもあるし、受け入れてもらえないことも多いという現実に直面する2人。特に、戸惑いながらも彼らの関係を受け入れ、喝を入れてくれた直人の母親との一幕は必見です。
大学卒業を目前にして、色んな人に自分たちの関係を知られた2人がどう考えて動くのか。その迷いや悩み、葛藤がギュッと詰まった2冊で、読み応え抜群です。
もちろん、BLな見せどころも完璧に押さえられているので、肌色的満足度も折り紙つきですよ!!
©おげれつたなか/リブレ出版