2019.05.30
【特別対談】『メイドインアビス』つくしあきひと × 脚本家 倉田英之 インタビュー!
最近は映画紹介マンガが熱い!
──コミスペ!ではお気に入りのマンガを伺っているんですが、やっぱりまず選ばれるのは 『神々の山嶺』ですか?
つくし:はい。僕がマンガを描く上で大きな影響を受けたのが『神々の山嶺』と小池一夫先生の本。そして、マンガの技術的な基本として石黒正数先生の『それでも町は廻っている』。
マンガって6コマの並びだけでもめちゃくちゃ面白い。それを石黒先生は計算ずくでやっているんですよ。
──最近のマンガで面白かった作品は?
つくし:『映像研には手を出すな!』は、誰にも描けないマンガを描いてるなって感じます。大童澄瞳先生が、自分を救うために描いている感じがすごく伝わってくるんですよね。
それと大童先生の描く背景も、一歩進めば世界が広がる、感動するためのパラグラフをちゃんと描いていてすごくいいんです。アニメ化が発表になって誰が作るのかと思ったら湯浅政明監督。もうこの人しかないだろって人に決まって、待ち遠しいです。
──背景にこだわりが強い点が『アビス』と共通していると思います。
つくし:マンガでは「キャラがメインで背景は脇役」って考え方があるんですけど、妙な違和感があったんですよ。読者がその世界に感動できる一番のパートナーが背景なので、それを適当に描いてはいけないのでは? って。
──背景もキャラクターのひとつという認識で描いてらっしゃる。
つくし:なので積極的に背景を使ってストーリーを作っていこうと意識しています。
『双亡亭壊すべし』でも、お化け屋敷の話から一転して、宇宙を舞台にした壮大な過去のエピソードが出てくるんです。(あの宇宙生命体が)お化け屋敷に化けるの? と。でも、すべてがお化け屋敷に帰結して、結局あの屋敷は怖いまま。これがすごくて面白いんです。
──倉田先生の最近良かったマンガはいかがでしょう?
倉田:『メタモルフォーゼの縁側』は、おばあちゃんがだんだんBLにハマっていく姿を着々と描いていて面白かったなあ。
あと『日ペンの美子ちゃん』の作画もやっていた服部昇大先生の『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』。
主人公が邦画にしか興味がなくてマンガも読んだことないから、『実写版 ドラゴンボールEVOLUTION』を観て「これが『ドラゴンボール』なのか」って思い込む話が超笑った。「亀仙人に決まっているではありませぬか」ってチョウ・ユンファが出てきたり。
最近、映画紹介マンガが増えてきて、『木根さんの1人でキネマ』の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の回とか良かったね。
つくし:『おやすみシェヘラザード』もいいですよね。
倉田:映画の『ソナチネ』とコマネチを勘違いしていて、「ビートたけしのコマネチが海外で評価されてる……? あの珍妙なポーズに何か深い意味があるのか?」って考察したり。
あと『シネマこんぷれっくす!』もオススメ。俺はこの作品のために「月刊ドラゴンエイジ」買ってるくらい(笑)。高校の映画同好会で3人の女の先輩が出てくるんだけど、3人とも変なやつなのがおかしくて。
倉田:あと、つくしさんも読んでた『田舎に帰るとやけになついた褐色ポニテショタがいる』。従兄弟の男の子がポニーテールに日焼けした褐色で、「にーちゃんにーちゃん」って懐いてくる日常もの。あぐらをかいたら膝の上に乗っかってきたり、ドキドキしちゃう。
つくし:田舎を舞台にしたマンガといえば、『ばらかもん』のヨシノサツキ先生が描いている『ヨシノズイカラ』もめっちゃ面白いですよ。『ばらかもん』のマンガ家バージョンって感じでオススメです。
「感動させる」っていうのは、いかに心にカッコいい形で傷をつけてやるかということ
──それでは最後に、最新8巻の見どころを教えてください。
つくし:8巻はガンジャ隊の回想シーンが40ページくらいあるし、子供が全然出てこないんですよ。なので具合が悪くなっちゃって……リコたちが出てこないとモチベーションの維持が大変なので……。
でもアビスを別の角度から見られる唯一の機会なので、描きたいと思って描きましたし、内容はすごく良いものができたと思います! それに15ページくらい、このマンガには珍しく何も起こらない描き下ろしがついています。
──みんな痛い目にあったりしないってことですか?
つくし:そうなんです。でも本編としては、今回も読んでる人を無茶苦茶にしてやるって気持ちで描きました。
倉田:攻めるね〜。俺はいつもインタビューで「『メイドインアビス』は下の層に進めば進むほど、恐ろしい謎とつくしさんの性癖があらわになる」って発言してよくカットされてるんだけど(笑)、まぁそれは冗談としても、でも実際性癖をちょっとだけ匂わせているのがポイントで、特にボンドルド編のへそカット! 読んでるだけで痛くて痛くて。
アビスの奥に進めば進むほど、容赦がなくなっていくから、俺はつくしさんがどんどん怖くなっていくんです(笑)。マンガでも小説でも、読み進めていく原動力って「この先どうなるんだろう」「どんな結末を迎えるんだろう」っていうのが一番大きいと思うんだけど、『メイドインアビス』は本当に分からない。
完結まで読んだ時、自分の中からどんな感情が出てくるのか予想がつかなくて恐ろしい。ただ、完全な希望でもないし完全な絶望でもないだろうって気はしています。
つくし:それについては、『ジョジョ』のスピンオフ小説『The Book 〜jojo’s bizarre adventure 4th another day〜』の巻末で、乙一先生と荒木飛呂彦先生が対談されていた時の言葉が印象に残っていて。
「この物語の終わり方ってハッピーエンドじゃないけど、豊かだね」って書かれていたんですよ。「物語って、ハッピーエンドじゃなくても豊かに終われるんだな」って自分の中で腑に落ちたんです。
倉田:『ジョジョ』3部のラストだって旅の仲間が半分死んでるのに、ポルナレフが別れる時に「つらいことがたくさんあったが……でも楽しかったよ。みんながいたからこの旅は楽しかった」って、あそこがすげえ泣けてさあ。
つくし:僕もあのシーンは泣きました。
倉田:花京院もイギーもアヴドゥルも死んでるのに、ちゃんと楽しい旅で終わるんだって。3人が3人とも目的を果たして終わっているわけだから、あの「楽しい」という言葉には説得力あって、ああいうラストは感動するよね。
つくし:感動させるっていうのは「心を揺さぶる」ことではなく、「いかに心にカッコいい形で傷をつけてやるか」だと思ってるんですよね。
倉田:良いフレーズ!
つくし:そうすると傷跡を見るたびに思い出して、語りたくなってくるんです。傷ついた瞬間は「うわーっ」て落ち込むんですが、時間が経てば良い思い出に美化されて、昔の傷跡を見ながら冷静に語れるじゃないですか。で、もう1回読み返してみたら、「ごめんやっぱりキツかった」みたいな(笑)。
倉田:7巻が出た時にコミックZINさんの特典ペーパーで感想を書いたんですよ。「『メイドインアビス』は子供の頃に読んだ怖いマンガに似てる」って。
小学生で『デビルマン』を読んで、げんなりしたトラウマを思い出したんだよね。心の準備ができてないうちに大人のエグいマンガを読まされて、「うわーっ! この世って『ドラえもん』だけじゃないんだな……」ってショックを受けた。と同時に、作者の哲学に触れたような感覚。そんなような空気がつくしさんのマンガからは漂っている。
つくし:そうおっしゃっていただいて、すごい嬉しかったんですよ。『メイドインアビス』は少年時代の自分に向けて、いかにカッコよく傷つけられるかを意識しながら描いているんですから。
──本日はありがとうございました!
作品情報
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— comicspace / コミスペ! (@comicspacejp) 2019年5月30日
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©つくしあきひと/竹書房, ©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会
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