2019.06.10

BLをきっかけに、58歳差の友情を育む温かなヒューマンドラマ!『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央理 【おすすめ漫画】

『メタモルフォーゼの縁側』

BLがきっかけで出会った58歳差のガール・ミーツ・ガール。気がつけば3巻目です。

1巻のレビューはこちらで、2巻のレビューはこちら

この作品、発売前からweb界隈でも注目度が高く、1巻はwebマンガ担当のmiyamoさんサブカル系担当の園田もなかさんもレビューされていて、打ち合わせもなく同サイトで3名が同タイトルレビューをするという事態になっていました。

3巻を数えても、作中を流れるのんびりほのぼのとした雰囲気は健在です。時間はどんどん過ぎていき、年末は目の前。そう、腐女子の一大イベント、冬コミの日が迫ってきています。

うららは、58歳年上のBL友達を誘って一緒に行こうとしていましたが、老齢のが最近、腰を痛めてしまい、家の中で日常生活を送るのにも苦労しているのを目の当たりにしてハッと気づきます。冬コミのビッグサイト。果てしなく思えるほどの広さと、当日予想される凄まじい混雑ぶり。そこは健康な人間でも万全の備えを要求される過酷な場所であるということ……。

現地を確認しに行って、やはり雪には厳しいと判断し、相手を気遣わせまいと自分の受験を理由に冬コミには行けなくなったと連絡してしまいます。少しそのことを後悔しながらも、やはり一緒に行きましょうとは言えないうららです。コミュ障と自分で思っている彼女ですが、友人を思いやれるとても優しい子なのです。

うららは、将来の進路を考え始める時期になってきました。学校では進路指導が始まり、自分の進む道を真剣に考えて大学や学部を選ばなければなりません。そして、雪に背中を押される形で描き始めたBL。どんどん、成長して未来に向かって進んでいく年齢なのです。

一方の雪はうららの58年先輩です。雪の時間もうららと同様に流れており、雪も将来に向けて前進していきます。ただし、前向きとは言えそれは人生の店じまい的な整理整頓なのです。新しい趣味に心をときめかせながらも、自分の残り時間のことは冷静に意識しています。

共通の趣味で交わりながら同じ時間を過ごしていても、その年齢差から目指す将来は異なります。うららは心身ともに成長し、雪は身体が日々衰えていくのを自覚しながら死を自然に意識する──その対比が鮮明になります。本来、重なるはずのなかった二人の生活が重なることで生まれてきた様々な変化や、友情を育んでいる現実がとても大切で愛おしいものに思えてきます。

さて冬コミ参加は見合わせた二人ですが、うららはついに描いていた作品を完成させ、イベント頒布する側に回ることになります。なんと、58歳年上の友人とともにサークル参加デビューをすることになったのです! どんなに年の差があっても、一緒に過ごす趣味の時間が楽しいことには変わりありません。

彼女たちの次なる萌えとの出会いを期待しながら4巻を待ちたいと思います!

この記事を書いた人

アキミ

このライターの記事一覧

無料で読める漫画

すべて見る

    人気のレビュー

    すべて見る

        人気の漫画

        すべて見る

          おすすめの記事

          ランキング